日本を代表するサッカー選手の一人、香川真司。
ドイツ・ブンデスリーガのドルトムントや、英国プレミアリーグのマンチェスター・ユナイテッドで活躍した後、現在はセレッソ大阪でミッドフィルダーとしてプレーしている。
さて、「香川」という名字は香川県に多い。とくに県西部に多く、善通寺市では市で一番多い名字が「香川」である。歴史的に見ても讃岐国には室町時代から香川氏という有力一族がおり、戦国時代には県西部の戦国大名として活躍していた。
同県では名字ランキング17位というメジャーな名字で、全国で「香川」が100位以内に入っているのは香川県のみ。県単位で200位以内となっているのも他には広島県しかない。つまり、「香川」は香川県を中心に分布しており、まさに香川県を代表する名字である。
そんなの当たり前だろうと思うかもしれないが、実は讃岐の名族香川氏のルーツは香川県ではない。
香川氏は桓武平氏の出で、鎌倉氏の一族なのだが系譜には各種あってそのルーツははっきりとしない。平安時代末期に経高が相模国高座郡香川荘(現在の神奈川県茅ヶ崎市香川)に住んで香川氏を称したのが祖である。当時は「香河」とも書いた。
やがて鎌倉幕府の御家人となり、承久の乱の功で安芸国(現在の広島県)と讃岐国(現在の香川県)に所領を賜った。そして両国に分かれて移り住んだことから、現在でも香川県と広島県に多くなっている。つまり、香川県の香川氏は神奈川県から来た一族である。
なかでも讃岐の香川氏は大きく発展した。
室町時代に守護の細川氏に仕えて西讃岐6郡の守護代となり、室町末期に細川氏が衰退すると、香川氏は戦国大名に発展して天霧城(善通寺市)に拠って讃岐西部を支配した。のちに土佐から侵攻してきた長宗我部元親に従い、豊臣秀吉の四国攻めで敗れて没落した。
なお、安芸国に移り住んだ香川一族も安芸各地に広がり、一族には江戸時代岩国藩(現在の山口県岩国市)の家老となった家もある。