キリンの長ーい「ごっくん」が話題になっている。
静岡県浜松市にある浜松市動物園がXに「キリンのごーーーーっくん!!」と投稿した動画には、キリンがエサを食べる様子が。
枝から葉っぱをむしり取り、じっくりモグモグした後、ごっくん!! 長い首の上から下までエサが通る様子が見てとれる。首が長いのだから当たり前とも言えるが、じっくり観察した人は少ないのでは。キリンの飲み込む力や、急いで食べて喉に詰まったりしないのか、など浜松市動物園キリン担当飼育員の加藤嵩さんに話を聞いた。
ー撮影したキリンは?
加藤:14歳のメスで、体長はおよそ4mで体重は650キロです。首の長さは約1.5mほどあります。
ー投稿動画の葉っぱが喉を通っていく様子について。
加藤:キリンは飲み込む力が強く喉がゆっくりと動くため、よくよく観察すると飲み込みの動きや、食べ物が上下する反芻の様子を見ることができます。
ー首が長いと飲み込むのも大変そうです。
加藤:キリンの首は食道と気管を守るために、胸骨舌骨筋・胸骨頭筋など太い筋肉が発達しています。長い首を支えるための7つの頸椎(※一部文献では8つ)は非常に頑丈で大きく、飲み込む動きを安定させています。
飲み込みは重力だけでなく食道の“ぜんどう運動”によって下へ送られるので、首が長くても問題なく飲み込むことができるんですよ。
ー喉につかえたり、むせたりすることはありますか?
加藤:キリンは咀嚼が丁寧なので、歯や細い枝など通常の餌ではほとんどありません。唾液にムチンという粘性の高い成分が多く含まれていて、枝の棘などから食道を守る役割もあるので、むせることは比較的少ない動物です。
ー反芻時は、どんな「ごっくん」になるんですか?
加藤:反芻時には胃から口へ食べ物が戻り、再び飲み込むため、飲み込むときは下方向へ、反芻で戻すときは上方向への、ごっくんを見ることができます。
ーキリン通になるような観察ポイントは?
加藤:オシコーンと呼ばれる、大人オスの角のゴツゴツ具合を観察してみてください。オスは年齢を重ねるほど角が太くゴツゴツしてくるので、他園のキリンを見る時にも、大まかな年齢の見分けがつくようになれます。
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SNSでは「当たり前だけどほんとだ!」「長いノドを通っていくのが分かる」「当たり前だけど、ちゃんと見るのは初めてかも」「首の骨は人間と同じ7個なんだよなぁ」「お~!って声出た」「大迫力!」などの反響が集まった。このきりんのごっくんは、来園者からも確認できるそう。キリンを見る際には、じっくり観察してみては。