物価上昇や環境対応など自動車を取り巻く変化が進む中、人々はどのように購入を決め、どのような基準で選んでいるのでしょうか。リセールバリュー総合研究所(東京都港区)が実施した「自動車購買行動」に関する調査によると、“買う気が失せた”接客は、男性が「強引な営業トーク」、女性では「性別や年齢に関する偏見」がそれぞれ最多となりました。
調査は、全国の自家用車保有者361人を対象として、2025年10月にインターネットで実施されました。
まず、「自動車を買い替えた理由」を尋ねたところ、「故障や不具合、車検のタイミングが来たから」(57.6%)が最多となった一方、「燃費・維持費の改善」(18.6%)、「家族構成の変化」(15.8%)など、ライフスタイルや経済面の変化をきっかけにする“計画的買い替え”は少数派となり、物価上昇や維持費負担が続く中、“必要最小限の購買行動”が定着している様子がうかがえました。
また、全体の67.3%が「購入前に予算を設定していた」ものの、実際には35.7%が「予算を超えて」購入しており、家計管理意識と現実の支出とのギャップが浮き彫りになりました。
背景としては、カーナビや安全装備などオプションの充実化や、「せっかく買うなら良いものを」という上位グレードへの変更などが上位となり、“計画的消費”を意識しながらも、実際には“納得消費”を選ぶ人が増えていることがうかがえました。
次に、自動車の購入検討・商談中に、販売店の担当者から言われて「信じられない/がっかりした」と感じたことを尋ねたところ、男性は「強引な営業トーク」(22.7%)、女性では「性別や年齢に関する偏見」(20.1%)が最多となり、いまだに“女性ドライバー軽視”の言動が残る現状が浮き彫りとなりました。
反対に、販売店の担当者から言われて「嬉しかった/この人から買いたい」と思ったこととしては、男性が「専門的アドバイス」(37.2%)や「誠実さ」(35.5%)を挙げた一方、女性は「気配り」(31.2%)や「寄り添い対応」(29.6%)を挙げており、購買体験における“価値の感じ方”の違いが浮き彫りになりました。
続けて、「購入前にオンラインでの見積もりや商談を利用しましたか」と尋ねたところ、「利用した」と回答した人はわずか21.9%にとどまり、約8割(78.1%)が“リアル店舗での商談を中心に検討”していることが明らかになりました。
一方で、世代別にみると、10代で58.3%、20代で27.8%がオンライン商談を経験しており、若年層では非対面での見積もり・商談が浸透しつつあることが明らかとなりました。
また、「オンラインでの動画やSNSが購入判断に影響した」と回答した割合は57.1%と過半数を超えた一方で、「オンラインでは情報収集していない」と答えた層も23.3%と一定数存在し、デジタル重視派とリアル重視派の二極化が進行している様子が見て取れました。
これを年代別に見ると、10代・20代の約半数が「SNS・動画が購入の決め手になった」(と回答。特に10代では「強く影響した」が25.0%、「ある程度影響した」も30.6%にのぼり、“動画レビューやSNS投稿が販売員の代わり”になっている実態が見えました。
一方、40代では「オンラインでは情報収集していない」が27.8%と最多。50代・60代でも2割前後が“オンライン非利用”で、世代間での情報接触ギャップが顕著となりました。