就職活動は、学生にとって人生の大きな分岐点のひとつです。しかし、必ずしも自分の思い描いた通りに進むとは限りません。そんな就活の現実と葛藤を描いた漫画『大企業志望の子がベンチャー志望の子と喧嘩する話』が、X(旧Twitter)で話題になっています。同作はサイコミにて連載中の漫画『今どきの若いもんは』(作:吉谷光平さん)のエピソードを抜粋したものです。
物語は、大企業志望の主人公と、同居しているベンチャー志望の友人との衝突が描かれます。主人公のリリカは大企業の就職活動がうまくいかず落ち込み気味で帰宅します。そんな彼女を励まそうとした友人に対し、「マウントを取りたいだけでしょ」と言い放ってしまいます。
さらにリリカは「ベンチャー企業はブラックで人が辞めるから若手が多いだけ」「チャンスなんてない、単に仕事量が多いだけ」と友人だけでなく友人が行っているインターン先の企業も批判するのでした。典型的な悪質ベンチャーの手口として、大学生を無償で働かせる例まで挙げて、友人を嘲笑します。
一方、友人は「私は好きなことやれたらそれで良い」「私のことうらやましいだけでしょ」とリリカに反論します。さらに友人は「リリカちゃんは、何がしたいの?」と問いかけます。その一言でリリカは、自分が何を目指しているのか分からなくなってしまうのでした。
この後リリカはどうなってしまうのか、続きが気になる同作について、作者の吉谷光平さんに話を聞きました。
選択肢の多い就職活動で伝えたい「自他境界」
ー大企業志望とベンチャー志望という対立構図を描こうと思ったきっかけは何ですか?
学生への取材をしている中で、ベンチャー志望が思った以上に多いことに驚いたんです。私が就活をしていた頃は、ベンチャーを選ぶ学生はかなり少なかったのですが、今は経験値を重視してベンチャーを志望する人が増えていると感じました。
ー会話中心の展開の中で、テンポや緊張感を保つために工夫した点があれば教えてください。
この漫画はもともと会話劇の要素が強いので、コマ割りや比喩表現、セリフの“ヒキ”を意識して構成しています。
ー読者に伝えたいことは?
この1話だけでなく、今回の就活編全体を通して“自他境界”がテーマだと思っています。自分と他人は違う人間。それをきちんと認識するのは意外と難しい。そうした部分を描きたかったのかもしれません。
<吉谷光平さん関連情報>
▽『今どきの若いモンは』連載サイト(サイコミ)
https://cycomi.com/title/87
▽電子書籍『今どきの若いモンは』(Amazon)
https://www.amazon.co.jp/dp/B0875FV4GF
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