クラシックコンサートの曲が終わると、客席から掛けられる「ブラボー」の声。すばらしい演奏に対する称賛の気持ちを表すものですが、タイミングを見誤ると演奏を台無しにしてしまうことも。
1日目「完璧な静寂に、心から感謝」→2日目「失望」
名古屋フィルハーモニー交響楽団の公式Xは10月11日、投稿を更新。演奏会の客席で起きた出来事に「失望を感じております」と苦言を呈しました。
同楽団は前日の10日から2日間、愛知県芸術劇場コンサートホールで第538回定期演奏会を開催。プログラムはブルックナーの交響曲第8番ハ短調(1890年稿)でした。
1日目の終演後、「本日はご来場、まことにありがとうございました! そして、『ミ・レ・ド』の後の完璧な静寂に、心から感謝申し上げます! マエストロも『Incredible!』と大いに感激されています」と舞台と客席が一体となり、演奏会が成功したことを報告しました。
しかし、2日目は一転、最後の音の余韻に浸る間もないタイミングで「ブラボー」と叫ぶ客がいたようで、同楽団は「様々なご意見があるかと思いますが」と前置きした上で、「終演後の早すぎる『ブラヴォー』は、私どもにとってうれしいものではございません。完璧な静寂の方が、はるかにうれしいです。今日は、指揮者も楽員も事務局員も、失望を感じておりますので、あえて投稿いたします」と意見を表明しました。
SNS上には居合わせた観客の投稿も複数あり、「フライングブラボー、腹立つ」「ブラヴォーが早すぎる」「初日は完璧な静寂だったのか」「1日目に行けばよかった」などといった声がありました。
同楽団の投稿は表示回数が4707万回を超えるほど拡散。同楽団では「たくさんのご意見、まことにありがとうございました」「引き続き、より効果的な注意喚起方法を考えてまいります」としました。
「自己満足」「人より早く叫びたいだけ?」
古くからあるフライングブラボー問題。楽団やコンサートホールによっては、開演前の場内放送やプログラムなどで注意を呼びかけていますが、一向になくなりません。
ネット上では「非常識」「余韻が台無し」「余韻と静寂までがセット」「興ざめする」「せっかくの演奏。他の客を不快にさせないで」「指揮者がタクトを下ろし、観客の方に振り返ってから叫んで」「災害」「フライングブラボーと拍手は本当に嫌」などの声が上がっています。
また、「感動を抑えられずというわけではなさそう」「人より早く叫びたいだけ?」「目立ちたいだけ」「わざとやってるとしか思えない」「自己満足なだけ」と心理を分析する人もいました。
理解求める投稿、他楽団でも
フライングブラボーをめぐっては、9月にも神奈川フィルハーモニー管弦楽団の公式Xが問題提起をしています。
「曲が終わったあとの余韻は指揮者をはじめ、楽団員やソリストとお客様が音楽の余韻をわかちあう大切な時間です。『ブラボー』や拍手は必ず指揮者のタクトがおりるまで、ほんの少しだけお待ちいただけますようお願いいたします。作曲家によっては曲の最後に全休符を書いている楽曲もあります。作曲家が生涯をかけて作曲した繊細な音楽をどうか最後まで会場のお一人お一人が楽しめるようご理解とご協力を心からお願いいたします」(9月14日の投稿から)