2027年9月末までに、順次すべての蛍光灯の生産が終了します。では、現在蛍光灯を使用している人はどうすれば良いのでしょうか。
蛍光灯の生産が終了するなら器具はそのままでLEDランプに変更すればいいのではないかと考える人もいるかもしれませんし、実際にホームセンターや百均などには「照明器具はそのままで取り付け可能」とするLEDランプが販売されています。実は、それを一般の人が気軽に使用すると危険なのだという投稿を電気工事士の「nob」(@doroicarv_nob)さんがXに投稿して注目を集めました。
「パナソニックから注意が出てた。蛍光灯を電気工事なしでLEDに変えた場合このリスクがあるのです。蛍光灯は安定器を通してランプが点灯する。安定器は必要な始動電圧を与えて安定した点灯を維持するためのもの、これが不要なLEDにつないでしまってるため問題が起きる可能性があるのです」
ポストにはパナソニックが掲載していた画像が添付されています。そこには「蛍光灯器具はそのまま、安易にランプだけLEDに交換すると火災などの重大事故につながる恐れがあります」と書かれており、蛍光灯器具にLEDにそのまま取り付けたために焼損したランプの画像が載っています。
nobさんにお話を聞くと、「説明書に機器をそのまま自分で交換できると書いてある製品がホームセンターなどに多く売られています。蛍光灯が売り場からなくなるとLEDを選ぶしかなくなり、方式が違うのに自分で交換することで間違った接続となり過電圧がかかることになり危険な状態の設置が増えると思います」とのこと。
商品パッケージに「蛍光灯をLEDに換えられる」と書かれていたら、そのまま換えていいと思ってしまいますよね。
実際に蛍光灯を交換する依頼があった場合、nobさんは「安定器を外して今のままの機器を使うか、本体ごと交換するかをお聞きしてお客さんの要望にお応えできるよう提案してます、あまりにも古い場合はケースが劣化してることが多いため器具ごとの交換をお勧めしてます」と話します。
さらに注意点として、「これから一気に工事が増えるため工事費が上がったり、工事に時間がかかったりするため、なるべく早めに電気工事の資格を持ったところにお願いするのが良いと思いいます」とnobさん。
パナソニックに話を聞きました。
──蛍光灯と同じサイズのLEDランプが、実際に販売されているのですか?
他社製品には、直管蛍光灯や丸型蛍光灯と同様のサイズ、口金のLEDランプは存在します。ただし、蛍光灯照明器具は蛍光ランプと組み合わせることを前提に設計されております。既設の照明器具との組み合わせが不適切な場合、LEDランプが点灯しない場合や、重大事故の懸念があります。
──蛍光灯の照明器具は、器具ごと交換するのがお勧め?
蛍光灯器具の内部には安定器と呼ばれる電源が内蔵されており、この部品は経年の劣化により長く使うと故障が考えられるうえ、その方式(インバータ式やラピッドスタート式など)も複数存在するため、この安定器を切り離す電気工事をしないタイプのLED直管というのは当社としては推奨いたしかねます(照明工業会も同様の見解です)。よって当社では器具ごとの交換をお勧めしています。
──器具ごと交換する場合、自分で交換できますか?
上記画像のような「引掛シーリング」などの配線器具がついている場合は、シーリングライトやペンダントライトはご自身で取り外してLED照明器具に交換が可能です。
──自分で交換できない器具は、どんなタイプになるのでしょうか。
一般の方がご自身でLED照明器具に交換できないケースとして、天井や壁に直付け(または埋め込み)されているシーリングライト、キッチンや洗面所の照明器具、コンパクト形蛍光灯(ツイン蛍光灯)を使ったダウンライトなどの交換になります。これらの交換作業には『電気工事士』の資格が必須ですので、お近くの電器店・工事店にご相談ください。
──ちなみに、白熱電球ならLED電球に交換しても問題ないのですか?
LED電球の場合、ランプの口金のサイズが同じであれば基本的に交換が可能です。LED電球の場合は電球側に電源回路が入っています。そのため電球を交換することが器具交換に近いことになるため、問題ありません。
──LEDランプに換えられないなら、蛍光灯の予備を購入しておこうという人もいそうですが、それは問題ありませんか?
蛍光灯(ランプ)自体には使用期限は設けていませんのでご使用頂けますが、照明器具側(特に安定器)は家電製品同様に経年使用での劣化がございますので、長年ご愛用頂いた蛍光灯器具だと思いますが、この機会に器具ごと交換によるLED化を推奨します。
──照明器具も電化製品なので寿命があるということですね。
照明器具の事故で最も多いのは過剰な長期使用によるものです。市販されている無工事で交換できるLEDランプも組み合わせを誤らなければ点灯します。しかし、家電製品同様に、照明器具にも耐用年数というものがあり、ランプ交換のみではこの故障リスクというのは潜在的に残されたままとなります。過剰に長い期間使用し続けると、事故リスクが高まりますので、当社では器具ごと交換してLED化を推奨しています。
※多くの家電製品同様に適正交換時期は10年と言われています。LEDに交換していても、10年を越えたあたりから故障率も上がり、寿命末期には初期の明るさの70%程度まで明るさが低下すると言われています。使い続けた古い照明器具は発煙・発火の危険があるため、早めに器具ごと交換することをお勧めします。
※ LED照明器具などの省エネ家電の購入には、自治体の補助金制度が利用できる場合もあります。自治体のサイトや、パナソニックの補助金検索「DENZAI TERASU」で確認することが可能です。
・補助金検索 | DENZAI TERASU – Panasonic https://www2.panasonic.biz/jp/terasu/subsidy/
◾️蛍光灯生産終了の状況とスケジュール https://www2.panasonic.biz/jp/lighting/conventional/
◾️蛍光灯から器具ごとLEDに交換 https://panasonic.jp/lamp/replace-led.html
◾️直管LEDランプは工事不要? いいえ!蛍光灯への取付には注意が必要です! https://www2.panasonic.biz/jp/lighting/renewal/straight/