防災の知識や技能を認定する「防災士」の資格試験に新舞鶴小(京都府舞鶴市)4年の田中奈桜さんが当時9歳の市内最年少で合格した。約400ページのテキストを読み込み、大人たちと一緒に養成講座を受けた。
昨年の能登半島地震をきっかけに「自分の命は自分で守れるようになりたい」と、防災に興味を持ったという。夏休みの自由研究で地震の仕組みを表す模型を作り、通学路で危険な場所はないか、どう行動すればよいかをテーマに調べた。
両親も学ぶ。母のいづみさんは水害で車が浸水した経験から、市の防災士養成講座を受けて昨年、合格した。奈桜さんはその姿を見て、父の昭生さんと一緒に養成講座を受け、2月の試験で共に合格した。
奈桜さんは、学ぶ中で「避難所運営」の分野に特に関心を持ったという。子どもたちが過ごす場所や、物資の集積所などを考える内容で「どこに何を置くかを考えるのが楽しかった」と振り返る。毎日少しずつテキストを読み、「土石流」などイメージのつかみにくい言葉は動画を見ながら家族で学んだ。
防災士の試験には自信を持って臨めたといい、「合格した時はうれしかった。担任の先生や友達も応援してくれた」と喜ぶ。災害報道を見ていても分かる言葉が増えたという。今年の夏休みは、同年代の小学生向けに命を守る行動や、防災の知識を伝える内容を研究する予定。将来は「ボランティアで防災の知識を話したい。いつか被災地に行って活動をしたい」という。
日頃から「防災」が家族の話題になる。いづみさんは「いざという時に身を守れる行動ができるようになってほしい」、昭生さんは「同じように興味を持てる分野ができてよかった」と見守る。弟の睦生さんも「将来、防災士の試験を受けたい」と話している。