岡山県玉野市の宇野港を会場に、ラジオ体操を通じた若者や移住者の交流が広がっている。玉野を象徴する港の風景を楽しみながら体を動かし、自己紹介やそれぞれが取り組む活動などをPRして意見交換をする場にもなっている。
「埼玉から移住して来ました」「週末にイベントがあるのでぜひ」。爽やかな朝日が注ぐ芝生の上、人々が円になり自己紹介や活動をアピールする。第1突堤で月2回開く「宇野港ラジオ体操」での風景だ。
地縁のない移住者がつながる場として、玉野への移住・創業を支援する市民団体「うのずくり」が2021年11月に始めた。当初は参加が10人に満たなかったが、人づてで徐々に取り組みが広まり、今では毎回30人前後が集まるという。
7月26日には移住者の家族や自治会役員、市内でイベントを企画する若者ら34人が参加し、和気あいあいと心地よい汗を流した。体操後は地元の食堂などで朝食会を開くのも恒例になっている。
うのずくりの声かけで、移住を検討している人が訪れることも多い。同団体と連携する地域おこし協力隊員の金子美穂さん(44)も、玉野への移住前にラジオ体操に参加したことで不安が和らいだという。「縁もゆかりのない土地になじめるか心配だったが、移住者が住民と自然に交流している様子に安心できた」と話す。
ラジオ体操を契機に新たな活動が生まれるケースも。今春には参加者有志が協力して、玉野の魅力や地域での活動を紹介する冊子を制作した。気の合った人が共同で畑を借りて農作業を楽しみ、商店街にある傷んだ社を修復する事業も進んでいる。
うのずくりの森美樹代表(45)は「港のアート作品や瀬戸内海を眺めながら交流できる場は、何よりも玉野の魅力を感じる機会になる。さまざまな人がつながれる場として今後も続けていきたい」と話している。
毎月第2、第4土曜日の午前7時半からで、誰でも参加できる。問い合わせは森代表(0863―31―1388)。