自宅でコツコツと育て続けたミョウバンの結晶が、ついに1キロの重さに到達――。
そんな驚きの投稿が、X(旧Twitter)上で大きな話題を呼んでいます。投稿主さんは「合法系実験屋」のアカウント名で、7カ月という長期間にわたって丁寧に育て上げた巨大な結晶の写真を公開。その美しい正八面体の形状と透明感に、多くのユーザーが感動しています。
投稿は2.6万件の「いいね」を集め、103.2万回もの表示回数を記録。コメント欄には「こんなデカくなるの!?」「しゅごい」「よく見る(結晶の)形のままデカくなるの科学の神秘すぎる」といった驚きの声が続々と寄せられています。
原点回帰から始まった長期実験
この壮大な結晶育成プロジェクトは、実は意外な動機から始まりました。
「以前は『合法系実験屋』という肩書きの通り(?)派手めの実験をやっていましたが、長くやる実験を考えたところ、原点にかえって小中学生のときにやった結晶作りを極めようと思いました」
これまで様々な実験を手がけてきた投稿主さん。しかし、より安全で長期的に取り組める実験として、幼い頃に体験した結晶作りに立ち返ることを考えたとのこと。
ミョウバンは硫酸アルミニウムカリウムという化学物質で、理科の実験でも定番の結晶作りの材料として親しまれています。一般的には手のひらサイズの結晶を作ることが多い中、1キロという巨大サイズまで成長させるのは並大抵のことではありません。
徹底した環境管理で理想の成長環境を維持
7カ月という長期間にわたる結晶育成で最も重要だったのは、安定した環境の維持でした。結晶を美しく成長させるためには、温度と湿度の管理が極めて重要です。
「温湿度については冬から始めたため、冬〜春にかけては暖房つけっぱなし、春から夏にかけては冷房と除湿機をつけっぱなしで維持しています。飽和溶液は常に大きいペットボトル2本の補充分を用意しておきます」
季節の変わり目でも一定の環境を保つため、冷暖房を24時間稼働させる徹底ぶり。また、結晶が成長するにつれて溶液が消費されるため、常に飽和溶液の補充分を準備しておくという細やかな配慮も欠かせませんでした。
失敗から学んだ毎日の観察の重要性
長期間の実験では、予想外のトラブルも発生しました。
「仕事が忙しかったりやる気が出なくて1週間ほど手入れをサボったら、溶液面が下がりすぎて結晶が露出してくることがありました。こうなると結晶が汚くなるので、毎日溶液を観察するようにしています」
結晶が空気に触れると、表面が曇ったり不純物が付着したりして、美しい透明感が損なわれてしまうそう。この失敗を機に、なるべく毎日欠かさず溶液の状態をチェックしているといいます。
1kg達成の喜びとSNSでの反響
そして迎えた1kg到達の瞬間。
「以前より大きくなる過程の進捗を投稿していましたが、1キロという節目でバズって(?)多くの人に見てもらえたのがうれしいです!」
投稿主さんにとって、科学の面白さを多くの人と共有できたことが、何よりの喜びだったようです。
今回の成功を受けて、投稿主さんはミョウバン結晶の魅力について、こう語ります。
「ミョウバンは最も結晶を作りやすい物質の一つで、上手く成長させると正八面体型で透明感もあるのが魅力です。今回の結晶をさらに成長させ、色々な展示会に持っていって、ミョウバンの結晶の魅力を伝えられたらいいなと思います」