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8月から本気を出した…受験勉強は1日10時間 双子の医学生ピアニストが「あ、イケる」と感じたのは、ピアノのおかげだった!?

宮前 晶子 宮前 晶子

現役医大生で、双子の連弾ピアニストとして、7月にレコード会社「avex」よりデビュー。YouTubeやインスタグラム、Xのフォロワー数合計12万人超を誇る「兄ーズ」。ピアノ活動と並行して、どのように受験を乗り越えたのかを取材しました。

TVでも密着取材の様子が放映されるなど、今や話題の2人。音楽家の登竜門のひとつとされる大阪国際音楽コンクールでの優勝や、アメリカにある音楽の殿堂「カーネギーホール」での演奏会に高校生で招聘されるなど、ピアニストとしての実績を重ねる19歳。

2人ともが、同じ道を歩む上で、大きな力となったのは「弟」の存在。難病を患う9歳下の弟の療育センターなどでピアノを弾いたのをきっかけに、数々の医療ケアの現場でボランティア演奏。弟を治したいという気持ちも徐々に育まれ、ピアニスト&医師の道を選ぶのも実に自然な選択だったそうです。

名前も、弟と妹の2人の兄というので「兄ーズ」に。そんな2人に対して「コウノドリを目指して」「支え合いが自然体」「心打たれる演奏でした」とさまざまな応援の声が寄せられています。

ただ、ここに至るまでには2人と、家族の並々ならぬ努力の連続。音楽活動を続けながら、どのように受験を乗り越えたのか…話を聞きました。

受験勉強にコンサートも…「焦ってました」

兄ーズこと、順一朗さん・宗一郎さんがピアノを習いだしたきっかけは、父が電子ピアノを購入したこと。とはいえ、家族のだれかがピアノ好き、精通しているなどの理由は全くなかったのだそう。

ただ両親は「目標を持ち、それに向けて進む力」を養って欲しいという思いを持っていたことから、2人は物心がつかない頃からピアノを習うことに。

ピアノの練習に費やした時間は膨大でした。特に夏休みは練習、練習、練習。夏休み後半に行われるコンクールに向け、ひたすら鍵盤を叩く毎日で1日12時間の練習はざらでした。

それゆえ、医学部に合格するためには5000時間の勉強が必要と聞いても、2人とも「あ、いける」。

とはいえ、高校3年生だった昨年の7月末まで海外での演奏や国内でのリサイタルなどがあり、勉強時間の確保には苦労しました。

「お客さんに僕たちの演奏を楽しんでもらえるのは、本当に嬉しかったです。でも、クラスメートたちは今頃、勉強しているんだろうなと思うと焦ったのも確か」と順一朗さん・宗一郎さん。

リサイタル会場などへの移動中は単語の暗記などわずかな時間も勉強に充てました。

演奏活動を休止した8月や冬休みは1日10時間、学校が始まった2学期は6時間机に向かい、猛勉強。模試の結果が振るわない時、やる気が出ない時は、励まし合ったり、ピアノを弾いて気分転換をはかったりしたこともあります。そして、2人揃って合格。

「ほぼピアノを弾かないという生活は初めてに近かったです。大学が決まって、久しぶりにピアノを弾いた時は、全然指が動かなくて焦りました」と2人で笑いますが、1週間後には、以前のように弾きこなせるようになりました。

ピアノの練習で培ったノウハウを受験勉強にも

春からは別々の大学の医学部で医師を目指し、勉強に励む2人。受験勉強を振り返り、順一朗さんは、「ピアノの演奏は答えのないもので、良いと言われるものを作っていかなくてはいけません。一方、受験勉強は正解に近づくために取り組んでいくものだと思います」。

ピアノと受験、全く異なるように思えてしまいますが、「受験勉強にはピアノの練習で得たことが役に立ちました」と順一朗さん。宗一郎さんも同意します。

具体的に有効だったこととして挙げたのが、「目標の可視化」「ミスとその対策の細分化」。いずれも、ピアノの練習で取り組んできたこと。

「目標の可視化は、小学生時代に教えていただいた先生のアドバイスです。目標は書いて、見える場所に貼って、毎日声に出しましょう、と言われたその日からやっていることです」

と、話す順一朗さんは、可視化のひとつとして「大谷翔平選手が高校時代に書いていた曼荼羅チャートを、僕も書きました」。

『どんなテストも90%以上』『間違いノートを用いて効率よく勉強』『古文は古文単語、助動詞中心』などの課題、目標を書き込み、自室の壁に貼り、気持ちを奮い立たせたそうです。

また、「ミスとその対策の細分化」について宗一郎さんは、ピアノの場合は、「どうしても、上手に弾けないフレーズはただ弾いても、なかなかミスを克服できません。ミスをなぜするのか?どんな時にミスをしやすいのか?を割り出して、その対策を取るようにしました。そうすると、弾けないことに悩む時間も減ったし、イライラや苦手意識もなくなりました」。

そして勉強も同様に、「間違いやわからないは、なぜか?を自分で考えて、掘り下げました。そして、ミスしないために何をすればいいのかを見出して、ひたすら同じパターンの問題を解くようにしました」と説明。

さらに、「勉強でもピアノでもそれ以外のことでも、苦手・できないに目を向けてしまいがちですが、勝利のパターンを知っておくこともおすすめです」と宗一郎さん。

「例えば、暗記と言っても、書く、読む、声に出すなど暗記の仕方は人によって違うと思います。自分はどのパターンが覚えやすいかを知ると、効率良く勉強できるのでは」と考察する2人。勝利のパターンを知ることで、勉強へのモチベーションが上がった、と教えてくれました。

実は、「練習は大嫌い!でも…」

ピアノと医師の二刀流に取り組む2人ですが、「小学生時代は本当に練習が嫌いでした。今も、嫌いな方」と笑います。

ダラダラするのが大好きで、練習をサボって大目玉をくらったことも何度もあるそうです。それでもピアノに向かい続けたのは、コンクールに出て1位を取りたかったから。

宗一郎さんは「練習嫌だな、と思う日の方が多かったから、練習へのハードルは低くしました。長時間練習しようと思うから嫌になる、まずは好きな曲を1曲だけ弾こうかな、ぐらいの気持ちでピアノの前に行くようにしました」。

そうやって弾き始めると、「あの曲も練習しよう」「苦手部分もやってみようか」と気持ちが切り替わるそうで、「勉強も同じ。苦手な教科からやろう、10時間やらねば、と思うと、やる気が失われます。ちょっとやろうかな、ぐらいで」と、簡単なことや好きなことから始めるのがコツだそう。

「ピアノの練習も受験勉強も本当に苦しかったです。でも、頑張ったから、やりきったという自信を持てました。頑張った先は、最高だ!と声を大にして言いたいです」

【兄ーズ 山下順一朗・宗一郎PROFILE】

4人きょうだいの長男・次男で双子の『兄ーズ』。時には腕を交差させながら、2人が奏でる美しくも迫力あるピアノ楽曲は、クラシックからJ-POP、アニメソングなどジャンルレス。魅せられる人は多く、東京や大阪など各地でのリサイタルチケットは完売も。7月1日初の書籍『夢を奏でる ピアニストと医師の二刀流を目指す双子の物語』(兄ーズ(山下順一朗・山下宗一郎/KADOKAWA)を出版、7月30日avexよりmini Album「Little Piano Land」配信・ミュージックカード発売。

兄ーズ 関連情報
■兄ーズ annies piano twins YouTube @annies_piano_twins
◼️Instagram @annies_piano_twins
◼️X  @annies_offical

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