「2年前に妻がヘアードネーションをし、頭が2倍くらいあるから自分こそやるべきでは!?と思い立ち、ボウズの状態から伸ばし始めました」
埼玉県に住む45歳の細野晃司(medell_oyassan)さんがThreadsに投稿した写真に写っていたのはサラサラなロングヘア。同様の理由から伸ばしている人や、その髪質の美しさが話題に。詳しくお話を聞きました。
細野さんは、約2年間髪を伸ばし続け、今年4月には長いところで40センチくらいの長さに。4月の誕生日に「断髪式」を行って、今はまた元通りのボウズ姿。
「日々髪の毛を洗うのが本当に大変で何度も挫けましたが、なんとか達成出来て良かったです」と語る細野さん。
今回、ヘアドネーションに向けて伸ばしている人や、経験者からは、
「男性の方がとても大変だと感じます。(社会での見られ方や諸々)本当にお疲れ様でした。そして…とても綺麗な髪で羨ましいです」
「素晴らしいです! 私もヘアドネーションをすべく伸ばし中です。もう少し頑張らないとですが」
「それにしても主さんの髪の毛綺麗~! 40センチだと長めのウィッグが作れるので待ってる人が多そうですね」
「何度も挫けそうになりますよね!気持ち分かります!」
「男性だとこれだけ思い切ってカットできるのよいなぁと思いました」
など、髪の美しさのほか、男性ならではの大変さや利点に触れるコメントが届いています。
そのほかにも、「小2の娘が、やりたいと言ってます。生まれてから切ったことのない娘です」との声もあり、これから自分や家族が挑戦する人への刺激となったことがうかがえます。
ヘアドネーションの浸透がうかがえる投稿と反応ですが、それでも、初めて挑戦する人にとっては今までにない苦労や発見がありそうです。細野さん本人にたずねました。
「お風呂が長い理由…わかりました」
2年間伸ばし続けて、「髪の長い人はこんなに大変なんだなと実感しました。お風呂が長い理由がわかりました。ボウズ歴が長いので、洗髪に時間がかかることがなかなか苦痛でした」と細野さん。
ほかにも、悩みを発見したそうで、「長くなってからは基本しばっていたので問題ありませんでしたが、しばれるかどうかくらいの時は大変でした。毛量が多いのですが、すいたりするのももったいないと思い、切ることはせず、しばれるまではヘアバンドで過ごしてました」とのことです。
洗髪に時間がかかる、中途半端な長さの時は結えずに邪魔になるなど、髪を伸ばしたことのある人に共通の苦労かと思いますが、「髪の量を減らすのがもったいなくて、“梳く(すく)”ことができない」というのはヘアドネーションならではかもしれません。
妻が「大変だよ?」と言っていたけれど…
長らく「ボウズ」だった細野さんが、髪を伸ばすことは周囲にとっても衝撃だったようで、奥さんは「大変だよ? やめたら?」と不安気だったそうです。しかし、髪が伸び、カットする頃になると変化が…。
「切る前は『もう切っちゃうの? ほんとにボウズに戻すの?』ともったいなさそうでした」
副業としてのアルバイト先である学童保育では、「結えない時はヘッドバンドをしていたので、子どもたちは『なんで付けてるの? 男なのになんで伸ばしてるの?』と違和感を口にしていましたが、次第に『かっこいい』『髪きれい』などと言うようになりました」と変化が生じていったそうです。
“男の人が髪を伸ばすこともある”“きれいさ・かっこよさにもいろいろある”と、身をもって伝えられたのではないでしょうか。
さて、写真を見た人から、その長い髪の美しさも話題となっていましたが、細野さんはどのようにケアしていたのでしょうか。
「元々直毛なのと、ドネーションのために伸ばしていたのでブリーチやパーマもかけませんでした。妻のシャンプー、トリートメントを使い、それでも手ぐしが引っかかるのが嫌で、週に1回くらいヘアマスクもしてました」
ヘアドネーション用の髪はブリーチやカラー、パーマなどは大丈夫と言われるものの、引っ張って切れないように過度なダメージがないことが大事。できるだけ美しい状態で届けたいという思いが伝わってきます。
「髪の毛は、自分で切って送ることにして、YouTubeなどいろいろ調べました。切る時に束ねる位置とか乾かした状態で送るとか、せっかく送るのに無駄にならないように気をつけました」
2年間伸ばし続けた髪は2009年から活動を始めた、日本のヘアドネーションの草分け的存在、NPO「Japan Hair Donation & Charity」(JHD&C、通称ジャーダック)に送られたそうです。
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髪を伸ばすことで今までにない感覚や周囲からの反応に遭遇したという細野さん。伸びた髪をカットする時には達成感でいっぱいだったに違いありません。
髪を寄付する際はカビが発生しないように湿らせない、ゴムでしばってからカットするなど、注意する点がいくつかあります。ヘアドネーションに適した髪の切り方、送り方を細野さんのように事前に調べてから行いましょう。また、「JHD&C」以外にも複数ヘアドネーションの団体があるので、受け入れ可能な髪の長さや状態などを、送り先となるそれぞれのNPOのホームページなどで確認してください。
細野さんは自宅にあるバスケットボールが出来るスペースを活用した、地域の小学生を対象とする民間学童保育「medellkids(めでるきっず)」(埼玉県上尾市泉台)を運営していました。同居する息子夫婦に孫が誕生したため現在は休業していますが、いずれ再開予定とのことです。
■細野 晃司(medell_oyassan)さんのThreadsアカウント https://www.threads.com/@medell_oyassan
■medellkids(めでるきっず)のInstagramアカウント https://www.instagram.com/medellkids