子犬購入後10日で「手放します」 無計画にもほどがある飼い主といい加減なペットショップ 棄てられたマルチーズの運命は

松田 義人 松田 義人

2024年春のこと。千葉県で暮らすある男性がマルチーズのオスの子犬を飼い始めました。「むっく」というかわいい名前をつけてあげ、かわいがってはいたようです。

しかし、それから10日後のこと。飼い主の男性はむっくを手放すことを決意し、動物愛護センターを経由して愛護団体、アイドッグ・レスキュー隊に保護の相談を持ちかけました。

無計画な飼い主と、いい加減なペットショップのアドバイス

むっくを手放すことにした背景には、こんな事情があったと男性は言います。むっくを飼い始めてから、男性は1日10時間くらい家に戻れず、その間はむっくがひとりぼっちで部屋の中でお留守番。

この間、むっくはあまりの不安、寂しさ、そして後述の空腹から大声で吠え続けることとなり、マンションの住民から男性のもとへ苦情が殺到。ついには「マンション自体を退去せよ」「明日までになんとかせよ」とも迫られ、ついにむっくを手放すことにしたのだと言います。

しかし、そもそもの話として仕事などで自宅を不在する人が、長時間ワンコを家に放っておけば、こうなることは予想できるはずです。また、当然集合住宅で飼う以上、念には念をで防音設備などのことも熟考した上で決断すべきであり、客観的に見て「当初の『子犬を飼う』という行動に出たのが、甘過ぎたのではないか」と言わざるを得ません。

相談を受けた団体も、当然男性に厳しく叱咤しましたが、「『ペットショップでは、ケージに入れておけば静かになる』と聞いた」「『子犬フードを朝晩15〜20gを与えるだけで大丈夫』と聞いた」としどろもどろ。

しかし、どの子犬フード商品でも「1日80〜100g」くらいが一般的です。つまり、そんな少ない量しか子犬フードを与えないのであれば、お腹ペコペコでむっくが鳴き喚くのも無理はありません。その男性の言い分が本当だとすれば、ペットショップの話はあまりにいい加減です。「早く売りたい」とテキトーなことを言って男性に買わせたようにも感じて、強い憤りを感じます。

団体は男性を激しく叱咤しながらも、まだ生まれて間もないむっくなので「軌道修正はできる」として保護を承諾。むっくを引き取ってまずはお世話をすることにしました。

なかなか縁がなかったむっくの元に「本当の家族」が現れた

幸いむっくは天真爛漫な性格で、10日間のうち数時間だけ一緒に過ごした男性と離れたことを寂しがる様子はありませんでした。

ただし、元来のヤンチャな性格と子犬特有の甘噛みなどがなかなか抜けなかったこともあり、ぴったりの里親さんとの出会いがなかなかありませんでした。

しかし、もうすぐ1歳になろうとする頃ついに「本当の家族」との縁が結ばれました。

里親希望者さんはTさんという優しい家族の方で、16年一緒に過ごしたトイプードルを看取った後、「今度は保護犬を迎えたい」と思いむっくの迎え入れを決意。

トライアルでのむっくは確かにまたヤンチャぶりを見せていたようですが、Tさんは「それでもむっくが良いのだ」として、正式譲渡の希望を団体に出しました。その際、Tさんはむっくの気持ちを代弁した手紙を団体側に渡しました。

「ぼくは今日、保護犬を卒業します!!」

 

しばらくむっくのお世話をしてきた団体の預かりボランティアさんは手紙を見て涙が止まらなくなりました。

そして正式譲渡となった後、Tさんから送られてきた、屈託のない笑顔を見せるむっくの写真を見て胸が熱くなりました。

生まれてから1年間、大変な思いを続けてきたむっく。確かにヤンチャな面もあるけど、この優しいTさんのもとであれば、これからきっと立派なワンコに成長してくれるはず。その日には、改めてお世話をしてくれた人たちに、その姿を見せにいってほしいなと思いました。

アイドッグ・レスキュー隊
http://aidog.jpn.com/

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