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スマホを手放せない…ひとり飯で「スマホ食べ」 極力見なくするには?→習慣を活かした提案に「ステキな企画」

太田 真弓 太田 真弓

スマホを見ながら食事する人も珍しくなくなり、「1人めし」だと当たり前のような光景に。混雑する飲食店で「食べるのが遅くなるから、注意されて驚いた」という体験談がSNSで賛否を呼ぶほど。家庭でも「テレビを見ながら食事がダメ」とされたのはかつてのことで、今はそれがすっかり「スマホ」となっています。

今回、その「スマホでながら食べ」に向けての対策を提案する「味の素株式会社」(本社:東京都中央区)に取材しました。

同社によると、全国の10~50代の一人暮らしをしている500名にアンケートを対象に「スマホ見ながら飯」に関する調査を実施(※)。その結果、10~20代の77.5%が「スマホを見ながら食事をしている」と回答。

さらにその頻度は「毎日」「ほぼ毎日」という回答が62.5%となり、「スマホ見ながら飯」が定着していることがうかがえます。

スマホ食べ「有効活用」「退屈しないため」

「スマホ見ながら飯」をしたことがある10~20代に対して理由を聞くと「食事中の時間を有効活用したい」というタイパを意識した回答が最も多い結果に。次いで「退屈しないため」「なんとなく」といった回答が並び、食事中であってもスマホが手放せなくなっている状況が見受けられます。

巷では、ランチしながらスマホを見る前提で、YouTubeで見てもらえるように配信時間をお昼に合わせて公開するアカウントもあるほか、最近は気軽な3分ドラマが若年層に人気と、むしろ「ながら食べ」しやすい状況は加速。

なかでも日本初のショートドラマアプリ「BUMP」は累計ダウンロード数200万回突破(2025年4月時点)、3月から世界100カ国・地域でドラマを配信。毎日放送が地上波と連動する新作「マルクト ~あなた、誰ですか?~」を6月6日から配信するほか、日本テレビ、フジテレビ、テレビ東京も参入。短さと質を考えても、魅力的なコンテンツが増加していると言えるでしょう。

ただ、動画を楽しむのであれば、食事中は食べ過ぎや食事本来のおいしさを損なうことは避けたい。そこで、味の素では社会課題を背景に沿ったプロジェクトを始動。スマホは使って「見ない」ために、どんな企画を打ち出したのでしょうか?

「ながら」の楽しみはそのままに…

「若い世代を中心に食事本来のおいしさを楽しめる方法」として、スマホを置いて、食事への集中と味わう意識を高めるアクションを提案するため、2024年11月からスタートしたのは「音飯プロジェクト」です。

「音飯」とは、まず、自分の好きなラジオや音楽を設定します。次にスマホを裏返して机の上に置き、自身のイヤフォンやヘッドフォンで“音”を聞きながら食事を楽しめばOK! 音量は周囲の声が聞こえる程度の低音量に設定するのがいいとのこと。

同社コミュニケーションデザイン部 コミュニケーション戦略グループの油谷さんにお話を聞きました。

――いつから「食事シーンでのスマホ利用」について注目を?

「スマホ見ながら飯」により食本来のおいしさが損なわれている可能性があることに着目し、楽しく解決するアプローチを提案したく、2023年秋頃から検討を始めました。「アミノサイエンス®により人・社会・地球のWell-beingへ貢献する。」を掲げる弊社だからこその貢献ができればと考えました。 

――特にどういった点に着目を?

ライフスタイルの多様化や仕事の多忙さにより、「孤食」や「個食」の機会が多くなっています。ひとりで食事をする際には「スマホ見ながら飯」をする方は多く、若者は8割にのぼります。ここに課題点を見い出しました。

こういった状況を踏まえ、たまにはスマホを置いて、食事をより楽しく、よりおいしく食べていただく機会を提供したいと考えました 。忙しい日々の中でも「音飯」を通して食事本来のおいしさを楽しんでほしいです。

――「食事の時間にもスマホが手放せなくなっている」という調査結果から、あえてスマホを使うというのが、なるほど!となりました。

若年層の音声コンテンツ利用の割合の高さ、そして大半が「スマホ見ながら飯」をしている状況を鑑み、「ながら」の楽しさはそのままにしながら、食事をよりおいしく、豊かにできる、若者の生活に寄り添った食事方法を考案し、企画しました。 

――2025年3月には渋谷の飲食店とコラボし、店舗限定オリジナルラジオを聴きながらイチオシ商品を食べるという『渋谷音飯プロジェクト』を展開されたそうですね。

SNSなどで実際に行った方から「音飯、ハマりそうです」「今日も渋谷で音飯」という投稿や「音飯、とても素敵な企画だと思うので、ぜひ行ってみてください」とご紹介をいただいておりました。「音飯体験」を楽しみに渋谷の店舗に足を運んでいただいている方も多くみられました。 

弊社の調査からも、10~50代の約3人に1人が「一人で食事を取る際、音楽やラジオを聞きながら食事をすることがある」と回答しており、そのうち67.6%の人が「音楽やポッドキャスト、ラジオを聴いて食事をするときは食事に集中している・味わっていると感じる」と答えております。

こういった結果からも「音飯」は「スマホ見ながら飯」よりも健康的な食習慣につながると考えています。

――今後も「食事×スマホ」のシーンへの提案や展開を?

弊社では、過去にも「飯スマホやめ~い!ステッカープロジェクト」と称して、人と食事をする時にスマホを使っていることに対する注意喚起を、ステッカーを使いながらさりげなく本音を伝えるといった活動で実施しておりましたし、他にも「団ランランタン」という、スマホを使って食卓を明るく灯すような活動もして参りました。 

このように様々な場面で「食事×スマホ」の関わりが見られますので、引き続き今回の「音飯」を中心に色々なアプローチを検討していき、「スマホ見ながら飯」の習慣がもたらす健康リスクの減少につなげることを目指していきたいです。

◇   ◇

「耳を使いながら(推しの声や好きな曲で)食事を味わうことが、心身にとって良い影響を生み、健康リスク減少への取り組みに繋がっていくことを目指す」という味の素の新たな食事方法への試み、とても興味深く感じました。すぐに実践できそうな手軽さも良いですね。

フリーランス管理栄養士として活動している豊田友理絵さんによると、「ながら食べ」が身体に影響することとして、以下の可能性があげられます。
①満足感が低下し、食べ過ぎてしまう
②咀嚼回数が減り、早食いしやすくなる
③消化吸収能力が低下する
④味覚に対して鈍感になってしまう
⑤姿勢が悪くなる

しっかりと噛み、味わって食べることで肥満予防につながるだけでなく、消化もよくなり、年を重ねた先の健康的な日々へとつながっていくといいます。

また、「ながら食べ」は「何をしながら食べるのか」ということも大事だそうで、誰かと一緒に会話を楽しみながら、音楽を聴きながら、外で自然を見ながら…などであればぜひとのこと。「音飯」ともリンクしてくる部分がありそうです。

 一方、家族で食事を囲む場であってもスマホから目が放せなかったり、お子さんたちが食事よりもゲームを優先してしまう例などもSNSへの投稿などから散見されます。

「スマホ見ながら飯」が食べ過ぎや食事への味わいに影響を与えるという社会課題は、誰と食べるかやどこで食べるかを問わず問題になってきているという現状。あらためて、ご自身や家族との食事時間について見つめ直してみるのも良いかもしれません。

<※参照>
味の素株式会社「一人で食事をする際の『味覚』に関する調査」
対象者:15~59歳の一人暮らしの男女500人
期間:2024年10月8~11日

■味の素 音飯プロジェクト https://www.ajinomoto.co.jp/event/otomeshi/ 

■豊田友理絵さん監修:健康食品・菓子・サプリメント等の開発を行う株式会社ピュアフィールド(愛知県名古屋市)の「栄養士コラム」 https://purefield.jp/column

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