皮膚科医「水虫の市販薬、皮膚科にかかる前に塗らないで」なぜ?しつこい水虫どうすれば?

太田 浩子 太田 浩子

 ひどい痒みや、皮膚がボロボロになるなどのつらい症状があらわれる「水虫」。カビの一種「白癬菌(はくせんきん)」に感染することが原因で発症します。水虫かもと思ったら、まず市販の水虫治療薬をつかう人も多いのではないでしょうか。そのあとやっぱり皮膚科にかかろうとなったときの注意を皮膚科医の「ぴるつ」(@dermabito)さんが投稿しました。

「水虫の相談で皮膚科にかかる前に市販の水虫薬を塗るのは… …今すぐやめてください… 検査しても水虫菌が見えなくなり… 正確な診断ができません…塗るのは…やめて……」

 この投稿に、「そうなんですね! それは知らず!」などと驚く声が寄せられています。では、どうしたら良いのでしょうか…「ぴるつ」さんに詳しいお話を聞きました。

――実際に、市販薬を塗ってから受診される方が多いのでしょうか。

 水虫の相談で受診される方の中で、「市販薬を最近まで塗っていたが治らない、検査してほしい」という方が多くいらっしゃいます。

――水虫の市販薬は水虫の菌をなくす役割があるので、診断ができなくなってしまうのですか?

 はい、その通りです。受診前には正確な診断のために市販薬を休薬してください。塗るのをやめて2週間程度経過すれば水虫菌がまた増えてきますので、皮膚の一部を擦りとり、顕微鏡で菌の存在を確認する検査を行うことが可能です。

――水虫かほかの疾患かわからないと、治療方法も決められないということですね。

 はい、一番困るのは見た目からは水虫が疑わしく、本人も水虫と思っており治療を希望しているが、検査で菌が見えないケースです。この場合市販薬を塗っていなければ「水虫らしく見えるが、実際には水虫ではない(例:湿疹など)」として自信を持って治療を開始することができますが、市販薬を直前まで塗っている状態ですと水虫菌が見えなくても、①本当に水虫ではない、②本当は水虫だが、市販薬を塗っている影響で見えなくなっている(偽陰性)、の2つの可能性があるため、診断及び治療に苦慮することがあります。

――ということは「水虫かな?」と思ったら、まず皮膚科を受診して水虫かどうか調べてもらった方が良さそうですね。

 すぐ受診できるようであれば皮膚科での検査、治療をお勧めします。忙しいなどの事情があり市販薬を使用する場合でも、皮膚科を受診する前には休薬期間を設けるのがベストです。

――やっぱり皮膚科に行くとなったら、2週間我慢するのはつらいですね…。水虫がなかなか治らないという人も多い気がします。治すコツはありますか?

 薬での治療が望ましいことは言うまでもありませんが、水虫菌は湿った環境を好むため、指の間に水虫菌がいる場合、薬での治療以外に5本指ソックスを履いたり、指の間(趾間)にガーゼを挟むなど、乾燥させる工夫が有効と考えられます。

 また、足の水虫は外用薬(塗り薬)で治ることが多いですが、爪水虫など一部のケースでは、内服薬(飲み薬)が必要になることもあります。ご本人が水虫と思っていても実際には水虫ではないこともありますので、市販薬で治らない場合にはぜひ一度皮膚科を受診することをおすすめします。

ーーなるほど、治療法もいろいろあるのですね。

 水虫の治療をしなくて済む一番の方法は、「水虫にかからないよう予防をする」ことです。具体的には温泉やジムなど公共の場を利用した後には時間をおかずに足を洗い、清潔にすること、またナイロンタオルなどで強く擦ることは逆効果(足に細かい傷ができて水虫菌の侵入経路になり得る)ですので、優しく洗うようにしてください。

 ◇ ◇

 共通のバスマットなどを使用して水虫菌が足についても、足に傷がなければ感染しにくいそうです。水虫にかからないように気をつけながら、もしもかかってしまった場合は自己判断せずに、皮膚科を受診することが完治への近道かもしれませんね。

■ぴるつさんのX https://x.com/dermabito

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