世界の国・地域で発行された「恐竜の切手」を公開する特別企画展が、岡山理科大(岡山市北区理大町)にある恐竜学博物館で初めて開催されている。60年以上前に発行された世界初の恐竜切手から、特殊な加工で立体感を出した近年のものまで、41カ国・地域の約300点を披露。博物館は「世界各地の恐竜を眺める旅行気分を味わってもらいたい」と来場を呼びかけている。
切手は同大生物地球学部元教授で、同大客員研究員の西戸裕嗣さん(73)が1980年ごろから趣味で収集。所有する約3千点のうち、希少性やデザイン性の観点からえりすぐりを展示している。恐竜の研究に親しんでもらおうと、恐竜学博物館の石垣忍館長(70)、学芸員志望の同大3年川田悠陽さん(21)と共に企画した。
世界初の恐竜切手は、58年に中国で発行。約1億9千万年前のジュラ紀前期、中国にいたとされる首の長いルーフェンゴサウルスと骨の姿がシンプルなタッチで描かれている。
化石の発掘が盛んなモンゴルでは種類が豊富だ。注目は、草食のプロトケラトプスと肉食のヴェロキラプトルが格闘している化石で、モンゴルで最も有名という。日本とモンゴルの外交関係樹立50周年(2022年)を記念する切手の1枚に、石垣館長が描いた大型恐竜サウロロフスの復元図が採用されたことも紹介している。
恐竜から鳥への進化を追った4枚組みのブータンの切手、恐竜の輪郭が浮き立つよう表面に凹凸を施したカナダ、見る角度によって化石から元の姿に変化するスペインのものもあり、国ごとにユニークさが光る。
西戸さんによると、ハリウッド映画「ジュラシックパーク」が1993年に公開されて以降、恐竜切手の種類が急激に増えたという。「映画の影響力は絶大で、特に人気を集めたティラノサウルスの切手が増加した。時代背景やお国柄がにじむ恐竜切手は見ていて飽きない」と話す。
石垣館長は「博物館には切手に描かれた恐竜の標本が多くそろっている。恐竜への関心を高めてもらえたら」と期待する。
入場無料。5月17日まで。午前10時~午後4時45分。日曜と月曜休館。問い合わせは恐竜学博物館(086―256―9804)。