髑髏(シャレコーベ)を模した外観になっているこの建物は、兵庫県尼崎市にあるシャレコーベ・ミュージアム。脳外科医だった先代館長が国内外から集めたシャレコーベのコレクションを展示するため、私財を投じて開設したミュージアムだ。
シャレコーベのコレクション総数は約8000点
髑髏すなわち頭蓋骨のことを「シャレコーベ」という。骨格標本を展示する博物館(ミュージアム)は珍しくないが、シャレコーベ・ミュージアムは、館長曰く「おそらく世界初のシャレコーベに特化したミュージアム」だという。
まず建物の外観が異彩を放っている。すぐ近くを走る国道2号線からは、普通の3階建てビルに見える。2人の骸骨が出迎える正面玄関を入っていくと、建物全体がシャレコーベを模していることに驚く人が多いそうだ。
中庭には、これまた巨大なシャレコーベのオブジェが2つ鎮座している。ネアンデルタール人とホモ・サピエンスのシャレコーベだ。
ここまでで、もうインパクト満点。そしていよいよ館内へ入ると、黒装束の骸骨がお出迎え。小さな子供は、たいていここで泣き出すそうだ。
だが、中は意外に明るい印象で、オカルト的な雰囲気は感じない。シャレコーベの実物をはじめ、キャンドル台、置き時計、チェス盤と駒、体重計など、シャレコーベをモチーフにした小物類も整然と展示されていて、楽しんで鑑賞できる。
全部で約8000点のコレクションがあり、常設展示はそのうち約1000点。展示物は時々入れ替えるほか、もし私的に展示したい人には貸し出しにも応じてくれるとのこと。
先代館長が世界中から集めたシャレコーベを展示したのが始まり
シャレコーベ・ミュージアムの創設者は、現館長の父親で脳外科医だった故・河本圭司氏。河本氏は1986年、国際学会に出席するためサンフランシスコを訪れた。その際、タクシーの運転手に「面白そうな店はないか?」と尋ねたところ、ある店へ案内された。その店の主が奥から出してきたのが、パプアニューギニア製で目にビー玉を入れて装飾された人間の本物の頭蓋骨だった。シャレコーベ・ミュージアムのWEBサイトには、そのときの河本氏の心情を「名状しがたい感情の発露を覚え、全身に電気が走るような衝撃があった」と記されている。
これをきっかけに河本氏のシャレコーベ収集が始まった。
「脳外科医だったので、興味があったのでしょう」(現館長)
初めは研究室に保管していたため、家族でさえずいぶん長い間コレクションには気づかなかったそうだ。
1996年頃から、河本氏は国内外から集めたシャレコーベを自宅2階の1部屋に陳列し始めた。その2年後には1階にも陳列するようになり、その頃から「シャレコーベ・ミュージアム」と称していたという。
コレクションは増え続け、自宅では手狭になったため、ミュージアム専用のビルを建てた。それが現在のシャレコーベ・ミュージアムで、現館長曰く「シャレコーベの展示に特化した私設ミュージアムとしては、おそらく世界初」のミュージアムとなった。
私設ミュージアムならではの悩みはやはり運営資金
シャレコーベ・ミュージアムは現館長を含めて4人で運営されているが、スタッフ専業ではなく、平日はそれぞれに仕事をもっている。ちなみに、現館長は薬剤師だ。そのため開館日は日曜・祝日に限られる。
これだけのミュージアムを運営する上で、いちばんの悩みのタネはやはり資金だという。シャレコーベに特化して、これほど多くのコレクションを収集・展示している施設は他にはない。そのため、なんとか存続させようと現在、クラウドファンディングで支援を募っているそうだ。
「たくさんの方に周知していただき、インバウンドの方に来ていただくための設備を揃え、少しでも多くの方に来館していただきたいと思っております。シャレコーベを通して、各々の感覚での楽しい時間を提供したい」
展示物には人間の本物のシャレコーベもあるが、尊厳を守って展示されている。世界にも類を見ない、シャレコーベに特化したミュージアムを訪れてみないか?
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【シャレコーベ・ミュージアム】
http://skull-museum.jp/frame.html
営業日 日曜日・祝日
入館料 未就学児は無料、小学生500円、中学生以上1000円
開館時間 午前10時~午後5時
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https://www.instagram.com/skullmuseum/
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https://twitter.com/skull_museum
クラウドファンディング