実在の心霊スポットをモデルにしたのが運の尽き!?常識では考えられないことが撮影中に起きてしまった。
撮影中に起きた怖い話
韓国の三大心霊スポットの一つからインスパイアされた韓国映画『ヌルボムガーデン』(2025年1月24日公開)の監督、ク・テジンが声を潜めて言う。
「それはマンションでの撮影中の出来事です。とあるシーンを撮っていたら謎の雑音が収録されました。その雑音が発せられた場所には何もないので、音が聞こえるなんて普通はありえません」
撮影中は慌ただしさもあり、深く気に留めることはなかったという。だがすべての撮影を終えて編集作業に入ったところ、背筋が凍った。雑音だと思ったのは、そこにはいるはずのない人の声だったのだ。
「声色やイントネーションからすると、どうやら幼い女の子のかすかな声。私には『ここから出して…』と言っているように聞こえました。記録された音声データは今も大切に保管しています」
冒頭注意喚起の怖い理由
それもそのはず。ロケを行った建物は、近隣住民から不気味な噂や「人影らしきものを見た」という目撃談が絶えない、いわくつきの廃墟だった。有名心霊スポットをイメージしたロケ地も実はヤバかった。偶然なのか、はたまた何かが呼び寄せたのか…。
韓国某所に実在するヌルボムガーデンは、『コンジアム』(2019)の舞台となった京畿道広州市の「コンジアム精神病院跡地」、朝鮮戦争で死亡した学徒兵の埋葬場所とされる慶尚北道ヨンドク郡の「慶北ヨンドク刺身店」と肩を並べる有名心霊スポット。レストラン経営者の一家に降りかかった不幸な出来事や、いくつもの怪談が語り継がれる場所なのだという。
本作はあくまで同所にインスパイアされた物語なのだが、心霊スポットとして有名な場所だけに製作においては苦労も絶えなかった。本編冒頭にはこれ見よがしに「実在の人物・場所・団体・建物とは関係ない」という注意喚起が記されている。
「本作を観た心霊ファンが聖地巡礼してしまうと、住民の方や関係者の方々に迷惑がかかってしまいますから。映画で映されている場所と実際の場所は違うことを皆さんに知らせておく必要があるとの判断です」
日本の怖い映画をリスペクト
テジン監督の本業はプロデューサー。日本でも話題になった『チェイサー』(2009年)、『女神の継承』(2023年)などを手掛けたことで知られるホラー&スリラー好きのナイスガイ。本作で念願の長編映画監督デビューを果たした。
「心を砕いたのは恐怖シーン。実在の人物に近い形の幽霊をクリエイトしたいと思いました。シーンによってはホラー映画的な過激表現もありますが、基本的には超現実的な印象を持ってもらえるよう心がけました」
ホラーだが、あくまでリアル志向。参考作品として『シャイニング』や『ヘレディタリー/継承』を挙げるが、恐怖描写やシチュエーションからはJホラーの影響が濃厚に匂う。
「クラシカルなホラー映画を作ることにかけて日本はNo.1です。『リング』や『呪怨』には心底驚かされ、何をどうすればこのような恐怖表現が可能なのかと打ちのめされました。日本のホラー映画を子供の頃から自然に目にしていたので、無意識のうちにオマージュを捧げているところがあるかもしれません」