かわいいペットをSNSで見かけると自然と心が癒されるものです。珍しい動物の飼育や大きい犬や猫、多頭飼いは実現が難しいため、誰かの投稿を見て満足する人も多いでしょう。
可愛いペットが好きなのは、夜の職業に就いている人々も同じです。ペットを飼うナイトワーカーはたくさんいて、彼らのSNSアカウントを見るとだいたいペットとともに暮らしているような気がします。以前、事務職として働く友達に「夜職の人々はなぜペットを飼いがちなの?」という素朴な疑問を指摘されたくらいなので、同じことを思う人が多いのかもしれません。
なぜナイトワーカーがやたらと動物を好むかというと、「動物好き」という理由以外に“心の寂しさ”が関係しているのでしょう。客商売はストレスが多く、お酒が絡むと人間不信になるような出来事が多発しますが、ペットは飼い主を裏切りません。言葉こそ通じないけれど、きちんと愛情を注げば想像以上の喜びと幸せが待っていますから、毎日の疲れを癒すために動物のパワーを借りるといったところ。
ラウンジやホストクラブなどの有名キャストが動物を飼うと、まるでファッションのように思えますが、実際はデレデレに溺愛するケースが多いです。ペット命な飼い主はハイブランドの洋服をペットに着せたり、健康に気を使ってリッチなごはんをあげたりして、全力で可愛がります。我が子をお嬢様、お坊ちゃんとして愛せるのはお金があるからこその特権ですね。
とは言え、やっぱり「映え」目的で飼育するケースも少なくありません。先のことを考えず、簡単に犬や猫を迎え入れる困った人も一定数いるようで、途中で飼育放棄する話も聞いたことがありました。散々SNSに載せていたのにも関わらず、急に登場しなくなるのが飼育放棄の王道パターンで、世話ができなくなると実家に押し付けるか、誰かに譲渡してしまうとのこと。動物をアクセサリー代わりにするのは許し難い行為ですが、この手の人々が存在するのは悲しいかな事実です。
ただ、本当に動物好きで、施設から引き取り命を救う素晴らしいナイトワーカーもいますので、「動物好きに悪いヤツはいない」なんて言葉は本当かもしれないですね。
余談ですが、夜職界隈ではペットを飼うキャスト=恋人持ちという噂が立ちやすく、頭数が多ければ多いほど恋人持ちだなんていわれています。おそらく「1人で何匹も世話ができるのか」「ペットを2人の子供がわりにしているのでは」というお客さんの疑いから出てくる考えでしょう。
結論から申し上げると、この概念はちょっと古いですね(笑)。夜職だろうとOLだろうと、独り身で動物を飼う人は増えています。
最近はペットシッターやホテルも多いので、高収入なナイトワーカーは家を空ける時にその手の業者や施設をバンバン利用するのです。家に誰もいなくともお金で解決可能ですから、パートナーが不在でも全然我が子を可愛がれますよ、という話です。
個人の見解を含めましたが、夜職界隈がやたらとペットを迎える理由について解説いたしました。もしこれを読んだナイトワーカーの人々が「うんうん」と頷き、読者が「へぇ、そうなんだ」と納得し、指名キャストにパートナーがいる疑惑を持つお客様の気持ちが少しでも晴れたら嬉しいですね(笑)。
◆たかなし亜妖(たかなし・あや)元セクシー女優のシナリオライター・フリーライター。2016年に女優デビュー後、2018年半ばに引退。ゲーム会社のシナリオ担当をしながらライターとしての修業を積み、のちに独立。現在は企画系ライターとしてあらゆるメディアで活躍中。