2023年1月からエネルギー価格の高騰に対して政府は「電気・ガス価格激変緩和対策事業」を行なってきましたが、ついに2024年10月使用分で電気代の補助金は一旦終了。2025年1月〜3月の期間に再開する方向で進んでいるようですが、とはいえ暖房代がかさむシーズンに節約は欠かせません。
意外と理解されていない?!暖房の現実
パナソニックが2024年9月エアコンを所有している20~60代の男女に行なった「今冬のエアコン利用意向」のアンケートによると、実は暖房の実態について理解していない人が多いことが判明!
「エアコンは冷房より暖房のほうが電気代が高い」
→正しく理解していない人は61%
さらには「電気料金値上げの負担を感じる」80%、「今年の冬、エアコン暖房の利用をガマンしたい」53%など、興味深い回答も多数寄せられていました。
冬を賢く乗り切るために、パナソニックの担当者に話を伺いました。
冷房より暖房運転の方が消費電力が高い!?
ーーなぜ暖房の方が冷房より電気代が高くつくのでしょう?
「エアコンは運転を開始してから設定温度に到達するまでが、最も稼働して電力を消費します。そのため外気温と室内設定温度の差が大きいほど強力な電力が必要なため、消費電力が多くなり、電気代が高くなります。
しかも外気と設定温度の温度差が同じ場合は、冷やすよりも暖めるほうが電力を消費するため、暖房運転のほうが消費電力が多くなり、電気代が高くなるという仕組みのためです」
ーーより効率よく部屋を温める方法を教えてください
「エアコンをこまめに掃除する、設定温度は20℃を目安に、風量も自動にするなどの基本的な節電術のほか、室内の熱は窓からの出入りが最も多いため、断熱シートや断熱カーテンを利用した対策がとても有効的になります。
例えばカーテンは床まで届くタイプにすると、 冬は隙間から侵入する冷気を抑えることもできます。窓と部屋の間に空気の層をつくるために、カーテンを2枚使うなど、温かい空気を逃さないようにする工夫も有効です。サーキュレーターを使うのもいいですね。
さらに、湿度にも気をつけてください。湿度が上がると暖かく、下がると寒く感じます。例えば、同じ20℃でも、湿度が20%と50%では体感温度は違っていて、後者の方が暖かく感じやすいです。快適な湿度は40〜60%と言われています。一般的にエアコン暖房を使用すると乾燥しますので、ぜひ加湿器や部屋干しなどで適度な加湿をしてください」
ーーサーキュレーターを使うと、冬は寒く感じませんか?
「角度がポイントです。直接風が体に当たると熱を奪うため、人に当たらないよう角度を調整してください。暖かい空気は上に溜まるため、サーキュレーターは斜め対角線上に上向きで置いて、たまった暖気をかき混ぜてください」
「こまめに消す」「つけっぱなし運転」どっちがいい?!
ーー冷房では「外出時、エアコンはつけっぱなしのほうがいい!こまめに切った方がいい!論争」がSNSで毎年上がりますが、暖房の場合はどうですか?
「基本的には冷房と同様に、外出時間30分以内ならつけっぱなし、30分以上になる場合は切ることをおすすめしています。しかしこれはあくまでも基本、暖房の場合は例外があります。
実は暖房の場合、『屋外の気温』によっても変わってきます。外気温が3℃より低い厳しい寒さの時は、エアコンを消して外出するのがたった30分の短時間でも、室温が大きく下がりやすくなるため、帰宅後に設定温度まで戻すには多くの電力が必要となります。その分電気代もかさんでしまうので『つけっぱなし運転』がお得です。
外気温が3℃以上であれば、エアコン運転を停止した後も、室温の下がり方が緩やかになるため『こまめに消す』運転の方が電気代の節約につながります」
ーー外気温が、出かける時にエアコンを切る?切らない?のポイントとなる訳ですね
「とは言っても、外気温が3℃以下の場合は、住宅の環境にもよりますが、45分以上の外出であればエアコンは切って出かけた方が電気代としてはお得になります」
ちなみに外気温が3℃以上の時は、お出かけする20~30分前にはエアコンを切るのがおすすめです。そうすることで『お出かけ前の30分』と『お出かけ中の30分』、合計1時間エアコンを切る節電になります」
ーー設定温度はどうですか?
「冬の暖房時は、設定温度を1℃下げるだけで、消費電力を約10%も削減できると言われています。ですが今回のアンケートで、暖房利用者の平均『設定温度』を分析したところ、22℃~25℃がボリュームゾーンとなっていました。環境省が『ウォームビズ』として推奨する20℃よりも高めの設定になっています。なので、設定温度を少し下げつつ、前述のような対策をしていただければ良いと思います」
ーー節電を考えると、一人でいる時に暖房がもったいないと感じるのですが…
「一人用の電気カーペットや電気こたつ、スポット暖房としてファンヒーターなどライフスタイル合わせて組み合わせるといいと思います。例えば、最近人気のセラミックファンヒーターは、放射された遠赤外線の熱をファンで送り出すタイプの暖房器具です。非燃焼系の暖房器具のため、安全性も高くお子さんのいるご家庭などにもおすすめです」
ーーあと、暖房中に気にしておくべきことはありますか?
「換気は行ってくださいね。その際、暖房は運転したまま、窓開け時間を少なく、こまめに換気することで部屋の温度を下げすぎず換気ができます。睡眠時の暖房運転にもポイントがあります。エアコンだけでなく、湯たんぽや電気毛布など、寝る前に寝具を温められるアイテムを使うのがおすすめ。ただ、電気毛布をつけっぱなしにしていると、体温が低下しにくくなり、スムーズな睡眠導入の妨げることがあるので、布団に入ったらオフにし、タイマーを設定して起床の30分から1時間前にオンになるようにしましょう」
結構知らない知識が多くて筆者もびっくり。近年は猛暑日が多く冷房ばかりに気を取られていましたが、今年は徹底した暖房節電対策もしていきたいですね!
パナソニック
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