道路開通で立ち退きの住宅街に置き去りになった猫たち、動物保護団体が保護へ 誰もいない家の庭や空き地に…「不妊手術していれば増えなかった」

渡辺 晴子 渡辺 晴子

愛媛県松山市内で外環状線が通るため、立ち退きとなった誰もいない住宅街。そこに置き去りになった猫たちがいると、猫の保護・TNR(※)活動などに取り組むNPO団体「わにゃんこ愛媛」(同市、代表・倉瀬奈々子さん)に連絡が入りました。現場に駆け付けたところ、誰も住んでいない家の庭や空き地などに猫たちがたくさん。人馴れした子たちも多く、保護に乗り出しました。

いずれも避妊・去勢手術をしていない子ばかり。同団体の倉瀬さんは「餌やりだけして、不妊手術もしないで増えて置き去りにしていく、捨てていくのは無責任です。来年には、今お世話をしている餌やりさんも引っ越されます。残された時間は少ないですが、1匹でも里親さんを見つけてあげたいと思います」と話します。

※TNR:Trap/捕獲し、Neuter/不妊去勢手術を行い、Return/元の場所に戻すこと。

倉瀬さんによると、置き去りになったのは、10匹を超える猫たち。以前住んでいた人が猫好きだということを知っていた人物が家の前などに猫を遺棄していたとのこと。そのうち近所の複数の人が餌やりするようになったのがきっかけで増えていったといいます。

「道路ができるため、通過するエリアの住宅が立ち退きを余儀なくされました。そのため、住民にお世話をされた猫たちなどがそのまま放置されてしまったんです。いずれの猫も不妊手術をうけていなかったので、増えたそう。とにかく先に子猫たちを保護して、個人ボランティアさんに預かってもらいましたが、最終的に子猫たちは里親さんが見つかりました」(倉瀬さん)

また、保護できずに行方不明になってしまった子猫が1匹、地元の保健所に収容されていたことが分かりました。子猫は皮膚病がひどく保健所内で隔離されていましたが、保健所から引き取ることができたとか。現在は、皮膚病が完治するまで譲渡には少し時間が掛かりそうとのことです。

保護団体「最近は引越しによる置き去りや遺棄なども増えている」

今回置き去りにされた猫たちについて「早い時期に不妊手術をしていれば増えなかったと思います。また最近は引越しによる置き去りや遺棄なども増えていて。動物をモノだとする考え方が根底にあるから」と倉瀬さん。

今後は「取り残された猫を全頭保護して、譲渡につなげること」といい、さらに「野良猫を増やさないためにも、餌やりとセットに不妊手術を施すことです。かわいそうだからといって、無責任に餌をあげることは止めてほしい。餌を一度与えたら、そこからその猫ちゃんたちへの命への責任が始まっていることを肝に銘じてもらいたいです」と訴えます。

現在病気やけがを負った猫たちは医療にかけ、元気な猫たちは捕獲し、倉瀬さんが運営する「にじのはしSC松山診療所」で避妊・去勢手術、ワクチン接種などを実施しているそうです。

   ◇  ◇

「わにゃんこ愛媛」は、殺処分を減らし不幸になる猫たちをなくしたいという思いから2022年6月より愛媛県で初のTNR病院を松山市内で開院。しかし、遠方の人や車の運転ができない高齢者が猫を連れての来院が難しいという現実がありました。そこで、同年10月から移動式手術室ニコワゴン「スペイクリニック愛媛」を始動。月に1回、愛媛県内の各地域で不妊去勢手術を行っています。

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