ペットブームの裏側で行き場をなくし、動物愛護団体などに保護された猫たちの居場所づくりが、京都府福知山市内で進んでいる。保護猫と触れ合える「猫カフェ」が今春、相次いで開店した。四本足の「店員」たちは、新たなすみかで住民の癒やしにも一役買っている。
「Neko茶碗」(同市拝師)は3月から営業している。猫と触れ合うエリアと喫茶スペースを分けており、猫アレルギーの人もガラス越しに、のんびりと過ごす猫たちを眺められる。
「人と猫が幸せに共存できる社会への願いをカフェに込めた」という店主の森田江美子さん。愛護団体を通じて新しい飼い主が決まるまでの一定期間、自宅で保護猫を世話する「預かりボランティア」の経験者だ。
カフェでは地域の団体と連携し、必要経費など有償での保護猫譲渡に力を入れる。すでにトライアル中の猫もいるという。「保護猫をどうにかして良い飼い主につなげたい」と話す。
福知山城のそばで4月下旬にオープンした「猫スティン」では、和田甲子朗さんが14匹と客を出迎える。いずれも愛護団体から受け入れた保護猫だ。和田さんは「この子たちのためにも長く続く店づくりをしたい」と意気込む。
一方、猫が行き場をなくすケースは後を絶たない。府中丹西保健所によると、市内で昨年度、21匹が保健所に持ち込まれた。意図せず出産してしまったり、高齢の飼い主が預け先を決めずに施設入所したりした事例があったという。
府は猫の飼い主に向け、強い繁殖力を踏まえた避妊・去勢手術の勧めなどをまとめたリーフレットを作成し、室内飼いなど適切な飼育を呼びかけている。