新築マンションの価格が高騰する中、中古マンションもマイホームの候補として検討する人が増えています。
売り手側も「少しでも高く売りたい」と考え、水回りや壁紙のリフォームをしてから売り出すケースが増えてきています。また、不動産会社が中古マンションを仕入れ、スケルトン状態からデザイン性の高い照明や造作家具を含むフルリノベーションを施し、デザイナーズマンションとして市場に出すケースもあり、選択肢は多様化しています。
そんな中、リフォーム済みで即入居でき、予算が明確な物件を選ぶか、自分の好みに合わせてフルリノベーションすることを前提に物件を選ぶか、迷っている方も多いのではないでしょうか。
マンションの「リフォーム済み」結構違うリフォーム範囲
お勤めの会社に手厚い住宅手当があり、転勤の可能性もあるため、住宅購入はずっと見送ってきたAさん(関東在住、50代、会社員)。マンション購入を検討したきっかけは、数年後に役職定年を控え、転勤の可能性がほぼなくなったタイミングでした。
頭金となる資金は用意できているものの、希望のエリアの新築物件は供給数が少なく、中古マンションも候補にすることにしたそうです。
不動産販売会社に駅からの距離と平米数の条件が合う物件を紹介してもらい、いくつか実際に見学に足を運んだAさんが気付いたのは「リフォーム済み」という表現の「実態」が物件によって大きく異なることでした。
最も多いのが洗面、キッチン、風呂など水回りの設備を入れ替えたリフォーム。築年数が古い場合、フローリングの貼り換えと給排水管の入れ替えがプラスされることも。
しかし、単に「壁紙を貼り換えただけ」を「リフォーム済み」と謳っているケースもあったそうです。
その一方、スケルトンからのフルリノベーションを行っている場合は「リフォーム」ではなく「デザイナーズ」などのキャッチコピーがついていて、好みが大きく分かれるような面白い物件も見ることができました。
デザイン性を高めたい?コスパ優先?将来の資産価値?
Aさん夫婦がとにかく悩んだのは、新築マンションから「リフォーム」の定義が異なる中古マンションまで幅広く物件をチェックしたため、物件を比較する際に単純に価格で比べるのが難しかったという点です。
例えば、20年後再度売却しようとした場合に間取りや設備に特徴のあるデザイナーズ物件と、一般的な間取りのままの物件ではどちらのほうが高く売れるのか?
スケルトンに解体したことがないマンションの場合、フルリノベーション費用をどれくらい見積もっておけばいいのか?
最低限のリフォーム済みの場合、お風呂やキッチン、トイレの機能やグレードが低めになりがちなことに満足できるのか?
…などなど、同じ条件で比較するのが難しく、悩んでいるうちに候補となる物件が売れてしまいイチから物件見学をやり直したことも少なくなかったそうです。
あれこれと悩むAさん夫婦を見かねたのか、ある時不動産会社の営業担当さんにキッパリ言われてしまいました。
「新築でも中古でも一緒です。最優先事項は何ですか? 駅に近くて、好みの外観で、安くて最新設備で、充実した間取りで、床面積が広くて景色がいい。すべてを同時にかなえる物件なんてありません!」
確かにその通り…と反省したAさん夫婦は、結局当初の条件であった「駅からの距離と平米数の条件が合う」物件のなかから、エントランスやゴミ捨て場がきれいに保たれていて、リフォームの必要性を感じないほどきれいにお住まいだった中古マンションを購入したそうです。
◇ ◇
中古マンションを選択肢に入れる際は「比較ポイントが増えて迷走しがち」なことを頭の片隅にいれておいた方がいいかもしれませんね!