「病院に通院するのに平日も休みがあればいいのに」
「子どものお稽古事送迎やPTA活動のことを考えると、有給だけでは足りない」
こんなお悩みを一気に解消できるかもしれない「週休3日制」を選択できる職場が、すこしずつ広がりつつあります。
これまで週休3日を希望すると、正社員ではなくパート・アルバイトや契約社員としての働き方を選ばざるを得ませんでした。正社員でも週休3日制を選択できることで、ライフ・ワーク・バランスを重視しながら安定したキャリアを続けられる可能性も拡がっています。
実施企業はまだまだ少数ですが、一足早く週休3日制を選んだ方に、そのメリット・デメリットについてお話を伺ってきました。
週休3日のメリット・デメリット
Aさん(関東在住、40代、メーカー勤務)が選択的週休3日制度を希望したきっかけは、自身の体調不良のためでした。日によって程度は違うものの、更年期の症状が強く出てしまうことが頻発し、通院しつつ疲れをためてしまわないように医師から勧められたタイミングと、選択的週休3日制の導入が重なり、上司に相談して新しい制度に立候補することに。
「とにかく疲れをためないように、2日出勤したら1日休めるシフトを組んでいます。少し体調が悪くなりかけても、すぐに調整できることで長く寝込んでしまうことが減りました。平日に確実に休める日が見えているので、通院予約を入れるのもスムーズです」とAさんはメリットを語ります。
「思いがけずよかったことは、子どものケアがしやすくなったことですね。平日に私が家にいる時間があることで、送迎が必要な習い事を入れたり、放課後お友達を招いて遊んだりといったことができるようになって、子どもがとても喜びました。いわゆる『小学校の壁』に悩むお父さんお母さんにとっても、良い制度だと思います」
確かに、週休3日であることでライフ・ワーク・バランスはぐっと取りやすくなっているようです。一方、デメリットについても伺いました。
「1日6時間勤務のいわゆる時短勤務と同じ給与体系になっています。年収への影響は大きいです。とはいえ、体調を完全に崩して退職になってはもっと損失が大きいので…。仕事上での影響は、実はあまり感じていません。上司も協力的なので。成功するかどうかは、周囲の人の理解がいちばん大きいと思います」
単純な「制度」を用意するだけでなく、会社全体として「従業員の働きやすさ」を追求しようとする姿勢の有無が導入の成否を分けるのかもしれません。
選択的週休三日制とは?
フルタイムの場合「完全週休二日・1日8時間×5日=週40時間勤務」が現在のスタンダードな働き方です。
この働き方の選択肢を増やすことで、育児や介護・病気治療などによる離職防止やライフ・ワーク・バランス向上による人材獲得力向上を目指そうという政府の推進策が「選択的週休3日制」です。
会社全体が週休3日制に舵を切るというものではなく、労働者が本人の希望によって週休3日の働き方を目指すものであり、週休3日制を選択した場合、大きく分けて2つのタイプに分かれます。
タイプA:圧縮労働型……休日を1日増やす分、残りの4日の1日当たり労働時間を増加 総労働時間は変わらないため給与は維持
タイプB:短日勤務型……休日を1日増やす分、週当たり労働時間を削減 総労働時間を減らす分、給与を削減
具体的な制度設計を知りたい経営者の方、人材獲得のための新たな手法を検討したい人事採用担当者の方は、厚生労働省の関連ページを参考にしてみてはいかがでしょうか。
【参考】
▽厚生労働省/本人の希望によって週休3日の働き方を選択できる選択的週休3日制無料コンサルティングのご案内
https://work-holiday.mhlw.go.jp/fourdayworkweek/pdf/information01.pdf