愛知県に住むKさんは、まるで運命に導かれたような1匹の猫「はなちゃくん」に出会いました。Kさんは、はなちゃくんと出会わなければ「保護活動を続けなかったかもしれない」と振り返ります。
その日、仕事帰りのKさんは、車道で目を疑う光景に遭遇しました。薄暗い街角で、血溜まりの中に倒れて首だけを上げた猫が横たわっていたのです。Kさんは瞬時に状況を判断し、車をバス停の奥に停め、車道を走って後続車にアピールしながら猫の元へ向かいました。交通量の多い場所で、必死に猫を救おうとしました。
血だらけで動けない猫。Kさんは近くの建設系の会社に停めてあった車の下に潜り込んだ猫を発見しました。段ボールを借りて捕まえようとしましたが、猫はさらに逃げ回り、土手を登ろうとするところでようやく捕まえました。しかしその際、猫はKさんの指を噛んでしまいました。痛みをこらえながら、Kさんは段ボール箱に入れて病院へ。運転中、血だらけになった指の痛みに耐えつつ、心は猫の無事を祈るばかりでした。
病院での診断結果、骨は無事で裂傷が大きく、出血も多いというものでした。包帯で処置を受けたものの、治療が難しい状態でした。医師の「この子は本当はとても優しい子だよ」という言葉は、当時のKさんには信じられないものでした。しかし、はなちゃくんはその後、少しずつ心を開き始めました。
はなちゃくんという名前の由来は、鼻が茶色だったことに由来します。最初はゲージの隅で怒り狂い、段ボールを一晩で粉々にしていました。Kさんと家族はその頑固な態度の奥に秘めた優しさを信じ、彼を迎え入れる決意をしました。保護から3カ月ほどで、ようやく触れることができるようになり、足の裂傷も次第に回復。高いところに登れるようになり、普通に動かせるようになったのです。
時が経つにつれて、はなちゃくんはまるで別猫のように甘えん坊で、他の保護した子猫にも優しく接するようになりました。彼の存在は、Kさんの家族にとって、日々の笑顔の源となり、家族全員が彼の可愛らしい姿を毎日写真に収め、グループLINEで共有することが楽しみになりました。
はなちゃくんの物語は、痛みと挑戦を乗り越えた彼が、家族とともに幸せな日々を過ごし、たくさんの笑顔をもたらしました。そしてKさんは、今も多くの猫の命を救っているのです。