京都と東京の料理人らでつくる団体がこのほど、水産資源の回復に向けた提言書を水産庁の森健長官に提出した。漁業生産量がピーク時の3分の1まで減る中、日本の食文化を支えてきたアマダイやコハダといった魚種の資源調査と管理体制の強化、予算・人員の拡充が柱。
団体は水産危機の啓発活動を続ける「シェフス・フォー・ザ・ブルー」。関連産業の人材育成も昨年から始め、和食をテーマにした学生向けプログラムを京都と東京で行っている。
提言書では、資源状況に配慮した魚介類を消費者が購入できるよう、トレーサビリティー(生産流通履歴)の導入推進を要望。日本料理の「だし」に欠かせないコンブやカツオも入手しにくくなっているとして、カツオの国際的な資源保全推進を求めた。
団体メンバーは東京都千代田区の日本記者クラブで会見を開き、イタリア料理店「チェンチ」(京都市左京区)の坂本健さんは「料理を習い始めた頃はどんどん使えた魚が目の前からいなくなった」と食材の変化を指摘。京都の料亭で修行した日本料理店「てのしま」(東京)の林亮平さんは「先人が紡いできた日本の食文化と資源を次世代に残すきっかけにしたい。日本の海の現状を知ってほしい」と訴えた。