1週間で猫7匹の遺棄、4匹の亡骸…「地域猫」が集まる餌場で 保護ボランティア「遺棄は犯罪、命を捨てないで」

渡辺 晴子 渡辺 晴子

沖縄県名護市内で6月、猫の遺棄や死体が相次いで見つかったことが分かりました。

同市内で猫のTNR(Trap/捕獲し、Neuter/不妊去勢手術を行い、Return/元の場所に戻すこと)活動や地域猫の餌やりなどをしているボランティアの寧波さん(@anmaa.k)によると、同月11日から17日までの1週間に子猫など7匹の遺棄、猫4匹の死体が見つかったといいます。

猫の遺棄や死体の発見が続いたことに、寧波さんは「いずれも警察に通報しましたが、死体に関しては虐待などの事件性はないと言われました。一方、遺棄した場所はいずれも私が地域猫などに餌やりをしているエリアとその周辺になります。猫が餌をもらって集まっているところに捨てれば誰かが面倒をみてくれるだろうという安易な考えで捨ててしまう方が多いのではないかと思いました。捨てられて死んでしまった子猫もいます…遺棄は犯罪です。命を捨てないでください」と訴えます。

6月から1週間で7匹の遺棄、4匹の死体発見

猫の死体が見つかったのは、6月11日。寧波さんが借りている保護部屋の庭に横たわっていたとのこと。このエリアはTNRを昨年から行っており、見かけない猫だったといいます。

「首には動物がかみ付いた跡などはなく、内蔵が開いていて、皮もはがされています。しっぽも切断されて、遺体の傍にありました。腸も長く引っ張り出されていました。警察が知り合いの獣医師に診てもらったところ、横隔膜に内出血があり、車にぶつかってもそうなるそうです。何かの衝撃で出血があって。その後にカラスや犬がついばんだんじゃないかと。警察には事件性はないと言われましたが、周辺は閑静な住宅街…交通事故に遭ったとしても、なぜ庭にいるのか?非常に疑問に思いました」

死体が見つかった翌日の12日には、寧波さんが餌やりをしているエリアの地域猫が行方不明になりました。11歳くらいの黒猫で黄だんもひどかったため、どこかでうずくまっているのではないかと地域の人と捜索しましたが、見つからず、今に至っているそうです。

さらに13日から17日にかけて、遺棄された猫7匹が見つかりました。13日は餌やりの場所で茶白の雌猫と子猫が捨てられ、近くに段ボール箱があったとのこと。15日に、その餌やりの場所から50メートル離れた場所にずぶ濡れになった瀕死の子猫1匹が、16日にも餌やり場から少し離れた水飲み場に子猫2匹が遺棄されていたといいます。また15日は瀕死の子猫と同じ大きさで同じ模様の子猫の死体も見つかったとか。

元気だった「地域猫」も翌朝、死体で見つかる 釣り針が食道に…

そして17日朝、前日の夜中0時にパトロールした際、元気にすり寄ってきた地域猫が餌やり場から少し離れた海岸近くの側溝で死体で発見。寧波さんが死体を見つけ、警察へ通報した後にはテトラポッドの上に子猫の姿が…目の前で下へ落ちてしまいました。すぐに警察官が到着し、子猫を引き上げてくれたそうです。

「地域猫はプリンという名前で、私がお世話をしていました。警察によると、釣り針が食道にあってお腹がすいて釣り針にかかったままの魚を食べてしまったのではないかとの見解です。出血していたとのこと。ただ最近は釣り針に餌を仕掛けて、食べさせたりするいたずらも発覚しているので、いちがいに自分で釣り針を飲み込んだかどうかは分かりません。一方、遺棄されたとみられる子猫は、テトラポッドの上は自力で上がれるような場所ではなく、人間が置いたように思います。またテトラポッドの下に別の子猫の亡がらもありました」

こうして遺棄や死体の発見が相次ぎ「明らかに急に、不審なことが続きました」と不安を抱いたという寧波さん。7月以降は遺棄も死体発見も全くなくなったものの、予断を許さない状況だといいます。

「連日の猛暑でいったん動きが止まっただけかもしれません。遺棄というのは、人間の身勝手な犯罪。一週間で7匹の遺棄、4つの亡きがら…尋常ではない事態が起きました。助けられなかった悔しさ、人間の愚かさ、深い悲しみ。猫たちはおびえた様子をみせていましたが、それでも、猫たちは健気に無邪気にご飯を待っています。簡単に命を捨てる人たちが多いのが事実です。一心不乱に食べている姿は、癒されもしますが、反面胸が締めつけられる思いにもなります。これ以上、犠牲は出したくないです」

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