心臓病だった小さな子猫をお迎え 家族が寝込むとずっと添い寝する、やさしい猫に

渡辺 陽 渡辺 陽

一時預かりのつもりが

Tさんがカイトくんと出会ったのは2021年の10月。親戚の家のガレージで野良猫が出産し、そのうちの1匹がカイトくんでした。当時、Tさんの家にはすでに高齢の猫が1匹おり、新たに猫を迎える予定はありませんでした。しかし、親戚から「1匹でも引き取ってもらえないか」と相談され、一時的に預かることにしたそうです。

初めて家に来た日、カイトくんはケージの中をウロウロし、小さな声で鳴いて母親や兄弟を探しているようでした。不安な気持ちが伝わってきて、Tさんも胸が痛みましたが、次第に落ち着き始めたそうです。

カイトくんは、他の兄弟に比べて体が小さく声も小さな子でした。

「里親を見つけるまでの預かりというつもりでしたが、健康診断で心臓病があることが分かりました。この状況で里親を見つけるのは難しいと感じ、家族として迎えると決めました」

こうしてカイトくんの家族の一員としての生活がスタートしました。

最初は里親に出す予定だったため、名前を付けていませんでしたが、カイトくんを迎えると決めた時、「鷹のように力強くカッコイイ男の子になるように」との願いを込めて「カイトくん」と名付けたそうです。

心臓病でも楽しく過ごす

カイトくんはとにかくヤンチャで、カーテンやシーツを何度も破ってしまうほど元気いっぱい。しかし、人や他の猫に対して威嚇したり攻撃したりすることはなく、とても優しい性格だといいます。その優しさが、Tさんや先住猫にも伝わり、家の中には温かい雰囲気が広がっています。

「カイトは一番先住ですが、後から来たつむぎに威嚇されたり桜に相手にしてもらえなくても怒り返したり虐めたりせず、何度も仲良くなろうと頑張って側に行ったり、毎朝全員に挨拶したりしています」

「人にも優しくて、先日、カイトが一番懐いている私の母がコロナにかかって寝込んだ時、いつもならご飯を食べた後はキャットタワーの一番上で外を眺めたり、ソファの上で寝そべったりするのですが、その時はご飯を食べたら寝込んでいる母の部屋に戻って、横でずっと添い寝していました。母がトイレに起きたらついて行き、戻ればまた横で添い寝と、母が治るまでずっと離れずにいました。治ってからはいつもの生活に戻りました」

カイトくんを迎えてから、Tさんの生活は大きく変わりました。心臓病を持つカイトくんのために、心臓病について調べたり、生活の細部に気を配ったりするようになりました。

「時には心配で落ち込むこともありましたが、カイトが毎日自由に楽しそうに過ごす姿を見て前向きな気持ちになれました」

カイトくんが健やかに、そして幸せに過ごせるよう、Tさんは愛情を持って見守っています。

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