多頭飼育崩壊 それでも飼い主が大好きなミックス犬 保護団体の通いサポートは10年以上 愛犬の長寿を願い飼い主は決断した

松田 義人 松田 義人

2010年、千葉・富里で多頭飼育崩壊が起きました。千葉・市川にある保護団体、GUNDOG RESCUE CACI(以下、CACI)は、現場から複数のワンコを保護しましたが、1匹だけどうしても引き出せなかったワンコがいます。

ちびというミックス犬で、ちびだけは飼い主のそばにいてもらうことにしました。

飼い主の元に残し「通い」でのサポートを続けた

CACIでは多頭飼育現場となった飼い主の元でちびだけを残す代わりに、再び多頭飼育崩壊が起きぬよう、そしてちびに適切なお世話をすべく「富里まで通う」カタチでサポートを続けることにしました。

月に一度、飼い主の元に赴き、ちびをシャンプーに連れ出し、また、ちびの具合が悪ければ、動物病院に連れて行き再び飼い主の元に戻します。また、台風でちびが暮らす建物が壊れた際には補強するなどもしました。

千葉・市川から富里までは高速道路を使っても片道約1時間前後。かなり手間のかかるサポートでした。

ちびを飼い主の元に残すことにした理由

多く保護団体では、行き場を失ったワンコを引き出した後、団体の保護施設や預かりボランティアさんの家などでお世話をするのが一般的です。

ちびだけは特例で、「通い」でお世話をし見守り続けているのには理由がありました。

2010年に多頭飼育崩壊が起きた際、複数のいるワンコのうち、ちびだけが飼い主から離れなかったこと。また飼い主もちびをとても大切に思っていたことから、メンバーは「無理に飼い主と引き離すことが正しい」とは思えませんでした。

それならば、ちびだけは大好きな飼い主の元で一緒に暮らしてもらい「飼育のサポートをするほうが良いだろう」と判断しました。「ヘルパーさん」のような存在であり続けることにしたわけです。

確かに手間のかかるお世話ですが、結果的にはこれが大正解。

後にちびは、たびたび訪れるメンバーに心を開くようになり、ニコニコの笑顔を浮かべ甘えてくれるようになりました。また、飼い主とのコミュニケーションも取れるようになり、以来多頭飼育崩壊を起こすことはありませんでした。これもまたワンコをサポートする保護活動のモデルにもなったように思います。

10年以上の「通い」を経てついに引き渡されることに

「通い」でのサポートを始めてから10年以上が経過。ちびは超シニアの域に達しました。飼い主はここまでのメンバーのお世話に信頼を寄せ、2023年の大晦日に、ついにちびをCACIに引き渡すことにしました。

超シニアになったちびに、少しでも穏やかな余生を送ってほしいとの思いからのものでした。飼い主と初めて会った際、全く取り合おうとしなかったことを思い出すと、ここまで信頼を寄せてくれたことにメンバーは熱い気持ちが込み上げました。

現在ちびは、CACIのシェルターで過ごしていますが、目が見えなくなり、夜鳴きをする時間が多くなりました。

しかし、時折ムクっと起きて見せるちびの笑顔は、相変わらず無垢なまま。飼い主、メンバーみんなから愛され続けるちびの余生が1日も長く続いてくれると良いなと思います。

GUNDOG RESCUE CACI
https://cac-ichikawa.com/

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