薄暗く狭い1人用のキッチン。シンクには汚れた食器が積み重なり、コンロには湯沸かし器とカップ焼きそば。空のペットボトルや洗剤、いくつかの調味料、歯磨き粉と歯ブラシも見えます。いかにも「一人暮らしのよくある(汚い)台所」という感じの写真かと思いきや、実はこれ、全部CGで制作されているのです。なぜわざわざこんな画を…?ていうか、異様にクオリティが高いのだが?「CGで俺ん家作りました」と、この作品をXに投稿して注目を集めた「25卒 大林 しもん/モデラー志望」さん(@0oBayasi)に聞きました。
—ご自分が使うキッチンを題材に選んだ理由は
「屋外の風景を作ることが多かったので、練習も兼ねて屋内の風景を作ろうと思いました。そこで、大学生活を共にしたキッチンを労りもかねて制作しました」
—工夫したことや、苦労したことは
「よくある生活の一部、なんとなく撮った一枚という雰囲気にしたかったので、敢えて主人公となる物は決めずに制作しました。苦労した点は、実際には私は部屋をそこまで汚さないのでゴチャゴチャした家の理解力が低かったことです。一人暮らしをしていて部屋が汚い友人の家に取材に行ったりして説得力のある画にすることができました」
—特に注目してもらいたいポイントは
「部屋が汚くなる人なら共感してもらえるポイントがたくさんあると思うので、是非細かいところまで探してみて欲しいです」
—反響が大きかったですね
「印象に残ったコメントが2つあります。1つは『福岡住んでた時の俺んちにマジで似てておもろい』。私は今東京に住んでいるのですが、遠くでも同じような生活してる人がいるんだなと感じて嬉しくなりました。もう1つは『いいとこに拾ってもらえそう』というコメント。就活中なのでこれも嬉しかったです」
この投稿には「すごいリアル」「写真にしか見えない…」「は?え?いや…すっっっげえ…」「才能の塊」と称賛の声が続々と寄せられ、3.3万件ものいいねが集まりました。
3DCGモデラーを目指す就活中の大学生、大林さん。2023年にはTVアニメ「オチビサン」にもレンダリングのアシスタントとして関わりました。映像系の背景モデラーを志望しており、実写合成やフルCG作品に携わる仕事がしたいのだそうです。目標とする作品や人物を尋ねてみたところ、「沢山あるので答えられないですが、私も誰かの目標になれる作品を作っていきたいです」と話してくれました。
大林さんは自身のアカウントで制作過程や他の作品も投稿しているので、CG技術のすごさを目の当たりにしたい人はチェックしてみてください。