長崎県内の繁殖場にいた1匹のポメラニアン。明るくキャンキャン吠えることから後に「キャンちゃん」と名付けられましたが、他のワンコと比べて動きが少し変です。
「歩く」というよりも跳ねながら進む感じで、どうやら後ろ両脚に奇形があるようでした。保護した長崎県内の団体は、地元の動物病院にすぐに連れて行きましたが、あまりの重度から「改善は難しい」という返答。福岡県で活動するボランティアチーム、わんにゃんレスキューはぴねす(以下、はぴねす)にキャンちゃんの命を託し、福岡県内の動物医療の名医に診てもらうことにしました。
大手術をすべきか、奇形のままで過ごさせるべきか
はぴねすのメンバーはすぐに地元の動物病院へ連れて行きました。
長崎では「改善は難しい」と診断されたように、大掛かりな手術が必要でした。奇形の骨を切り創外固定をし、さらに半年ほど安静に過ごさせ経過観察を続けるという診断でした。
生後9カ月ほどの遊びたい盛りの子犬を、ケージの中に閉じ込めておくことが、本当に良いことなのかどうかメンバーは複雑な気持ちを抱きました。
動物病院の獣医師も同じ思いでした。「キャンちゃんの後ろ両脚は確かに奇形ですが、痛みがなく生活に支障がないのなら無理に手術しなくても良いのではないか」とも言ってくれました。結果、キャンちゃんの手術はいったん見送られることに。伸び伸びと生活させることを優先しました。
元気に過ごしていたキャンちゃんに突然の異変
キャンちゃんはメンバーの家でも明るく楽しそうに過ごしていました。その様子は人間を笑顔にしてしまうほどかわいらしいもので、メンバーは「手術をしない」選択をしたことが正解だったと感じる日々を送っていました。
しかし、ある日の朝、いつもなら他のワンコに先駆けて、メンバーに元気に飛びかかってくる姿が見えません。「どこに行ったのかな?」と探すと、部屋の隅に動かないキャンちゃんがいました。普段とはまるで違う様子です。
「どうしたの?」と抱き上げると、体に力が全く入っていません。意識も朦朧としているようで、視線が定まっていません。メンバーは慌てて動物病院へと向かいました。
「突然亡くなることもあるのでは……」という不安
血液検査の結果、肝機能の数値が異常に跳ね上がり「急性肝障害」という診断。すぐに入院することになりました。
あれだけ元気で明るかったキャンちゃんがどうして突然、急性肝障害を起こしたのかの原因はわかりませんでした。メンバーの脳裏には、「『原因がわからない』ということはこのまま突然亡くなってしまうこともあるのでは……」と不安がよぎりました。
獣医師は、キャンちゃんの様子を逐一メンバーにLINEで報告。メッセージを開くのも不安でしたが、幸いなことにキャンちゃんの体調は改善し、4日目には元気を取り戻し退院することができました。
奇形や病気を含めて受け入れてくれる里親さんに
急性肝障害の原因はわからず、もしかすると今後もまた起きるかもしれません。後ろ脚の奇形も含めると、里親さん探しのハードルは高いと言わざるを得ません。
しかし、メンバーは「普段はこんなに元気で明るく、甘えん坊のキャンちゃんを『ずっとのお家』に繋げたい」と里親募集をスタート。キャンちゃんの明るい性格だけでなく、その体も含めて受け入れてくれる里親さんとのマッチングを目指すことにしました。
今後キャンちゃんの身にどんなことが起きても、一緒に乗り越えていける家族と結ばれ、末長く明るく元気に過ごしてくれることを願うばかりです。
わんにゃんレスキューはぴねす
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