目が合えば「シャー!!!」野良を生き抜いたオス猫 血だらけの足で保護され家族もできたのに…見られなかった満開の桜、それでも

渡辺 陽 渡辺 陽

痛みでうずくまるほどでないと保護されない外猫たち

「うずくまっている猫がいる。具合が悪いのか怪我をしているようだ」と、ある警察署から愛護団体NPO法人ねこけん(以下、ねこけん)にSOSが入った。その猫がピーポーくんだった。

メンバーが迎えに行くと、傘やカバンが置いてある「落とし物倉庫」にピーポーくんはいた。ケージの中のピーポーくんはうんちやおしっこにまみれて、臭気を放っていたという。 

ケージの中でうずくまったピーポーくん。床には血の肉球スタンプがついていた。

「どこかから出血しているのは確かだったのですが、目視では大きなケガはなさそうでした。取り急ぎ、洗濯ネットに入れてキャリーに移し、事務所に行きました。

よく身体を調べてみると、未去勢のオス猫で体重は4kg弱。肉球から出血していたことが分かった。

「ピーポーくんの前脚の肉球は両方とも大きく腫れ上がり、破裂したような状態で自壊して、出血していました。この両手が痛くて動けなかったのでしょう。」

もしピーポーくんが飼い猫だったらもっと早い段階で発見し治療ができたはずだが、ピーポーくんは外で生きている猫だった。

「今回は、偶然動けなくなっているピーポーを発見してくれた人がいて助かりましたが、ここまでひどくなり動けなくならないと発見されず、治療も受けられなかったのです。外で生きていくのはとても大変なことです。」

世間が動物愛護に興味を持ち始めても、こうした病気や怪我等で、人知れず命を落としている子はまだまだ多い。

満開の桜を見る前に

春先のまだ寒い時期にねこけんにやってきたピーポーくん。だんだん元気を取り戻し、ねこけん保護猫の中でも、誰にも負けない「シャー顔」を披露するようになった。

「 人馴れしていない、まさしく”野良”を生きぬいてきた感が漂うピーポーでした。私たちは、だんだんお世話に入る度、ピーポーのシャー!が見れないと寂しいような悲しいような気持ちになりました。そして、長く一緒に過ごすうちに、だんだんシャー顔にお笑い要素が入ってきたのです。」

保護猫のパンくんとも仲良くなって穏やかに暮らしているように見えた矢先、メンバーが苦しそうなピーポーを発見して、すぐに救急搬送した。すぐに回復して戻ってくると誰もが思っていた。

飼い猫の血液を供血したメンバーは、「ピーポー、とらちゃんの血は元気になる魔法の血液だよ」と言い、みんな心の中でピーポーくんの回復をひたすら祈っていたという。

その日の夜23時頃、メンバーYさんから、

「ピーポーが危ないかも…だめかもしれない。」という電話が。二度目に電話がかかってきた時は、すでに息絶えていた。

獣医師が心臓マッサージを続けてくれたので、最後に大好きなパンくんの声を届けられたし、大好きだと伝えたられたという。

「 ピーポーにみんなの気持ちが伝わったと思います。実は、ピーポーには既に家族ができていました。いつも大変な状態の猫さんを家族に迎えてくれているメンバ―HARさんが、『家族に迎える』と申し出てくれたのです。」

代表も快諾!ピーポーくんに家族ができた!そんなミラクルピーポーだったのに、「満開の桜を一緒に見よう!」という約束を果たさぬままピーポーくんは旅立って行った。寝ているような穏やかな顔のピーポーくんに、同時期に家族になったアビーちゃんが寄り添った。「僕達家族なんだよ」と。

春の訪れと供にやってきたピーポーくんは、桜の咲き始めを見ながら逝ってしまった。

「多くの人に愛されたピーポー。いつもシャーだったけどみんなピーポーが大好きでした。これからもその気持ちは変わりません。」

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