ケージの中で睨んでいた保護猫→緊張解けて甘えん坊に、膝の上でスヤスヤ眠る姿「幸せの重み」

渡辺 陽 渡辺 陽

どこまでもついてくる野良猫

つくねさん(2歳8ヶ月・メス)は、野良の子猫だった。最初は2匹で餌やりさんからご飯をもらっていたが、急につくねさんしか来なくなったという。つくねさんは、餌やりさんが帰ろうとしても走って家まで着いてくる。野良猫なのにべったりすりすりの猫だった。

人馴れもしており、真ん前が川で道も狭く、交通量が多いところにいたため、急遽、個人で猫の保護活動をしている人が保護することにしたという。既に生後6ヶ月くらいになっていた。通常、生後3ヶ月以上の猫は譲渡しにくいので保護しないが、餌やりさんに懐いていたので、人慣れしているだろうと保護されたそうだ。

妄想が現実に

大阪府在住のBさんは、動物は好きだったが、一人暮らしなので飼うのは難しいだろうと思っていた。「1つの命を預かる覚悟ができず、自分には無理だと思っていました。ただ、YouTubeで猫の動画を見たり、譲渡サイトを見たりして『この子可愛いな。迎えるならこの子かな』などと妄想にふける毎日でした」

 

しかし、いつも通りサイトを見ていたら1匹の猫が目に入り、なぜか頭から離れなかった。いわゆる一目惚れだった。「この子がいい!この子しかいない!」と、迎える覚悟もできてないのに、毎日「里親が決まってしまわないか」…とドキドキしながら見ていたという。「ある日その子に1件応募が入ったのを見て、この子がよその家に行ってしまうのは嫌だと思い、覚悟を決めて応募しました」

Bさんはつくねさんと2021年12月25日にお見合いした。お見合いの時は、シャーこそなかったが、ケージの端っこでイカ耳MAXでBさんを睨んでいて、とても触るどころではなかった。「それでもやっと会えたことに嬉しくて泣きそうになっていました。その日のうちに保護主さんから連絡があり、12月31日に家族になりました。この子が初めての猫です」

Bさんは一人暮らしなので、小さい子猫よりお留守番ができる、ある程度大きい子がいいと思っていたので、その点でも理想的だった。

膝の上で寝てくれるひと時

大晦日、つくねさんは保護主とBさん宅にやってきた。3段ケージを用意していたので最初はケージに入れたが、扉を開けると、外に出て早速探検を始めた。「私が猫と暮らすのが初めてだったので、初日はお互い緊張していたと思います。つくねは緊張しながらも撫でさせてくれました。一旦ケージを出ると、ダイニングチェアの上で1週間ほど暮らしていました。せっかく買ったケージで寝たことは1度もありませんでした(笑)」

 つくねさんという名前に意味があるわけではないが、犬や猫を飼うなら…と名前を考えていて、ずっと温めてきた名前だった。つくねさんの性格は、天真爛漫でわがままなお嬢さん。普段、Bさんが家にいるときは家庭内ストーカーになる。

「トイレやお風呂は必ず待っていてくれるし、毎日のお見送りとお出迎えもマストです。とても怖がりで、お客さんが来るとたちまちベッドの下に隠れて出てこなくなります。もう少しほかの人にも慣れてくれたらと思うのですが」

つくねさんは、平日、Bさんが仕事から帰ると、ご飯を食べてひとしきり遊び、膝の上で1時間ほど寝る。休日は2時間から3時間、膝の上で寝る。「その間動けないし腰が痛くなりますが、幸せの重みを感じながら自ら去って行くまでお膝を堪能してもらいます。平日はお留守番が長いので、休みの日はなるべく一緒にいて甘えさせてあげたいと思っています。長くはない猫生なので存分にわがままでいてほしいです」

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