新学年が始まって半月が経った4月後半は家庭訪問の時期。ある小学校教員の投稿が話題を集めています。
「前任校では家庭訪問があった。トイレに行きたくなったので途中でコンビニに行きました。何か買わなきゃ悪いと思って買い物したんだけど(たしかレッドブル)、あとから「勤務時間中なのに休憩していた」と地域から通報 訪問先で毎回お茶を飲んだらトイレしたくなるよね?」
この悲痛な訴えに対し、コメント欄に寄せられた声は、「コンビニすら行けないなんて…」「地域の目って怖い」「日頃からお世話になってる先生方を通報なんて」「勤務時間中も休憩は必要」「人って認識してない人絶対おる」など同情が大多数。投稿主のまにるしさん(@55manirush1)に詳しい話を聞きました。
「教員は常にトイレを我慢。当たり前に休める社会を」
まにるしさんは小学校の教員。前任校での家庭訪問中、お手洗いに行くためにコンビニに立ち寄ったところを地域住民に目撃され、「コンビニで休んでいる」と学校に電話が入った苦い経験をSNSで明かしました。
その際、まにるしさんは家庭訪問中のため不在でしたが、その後の職員を集めた集会で管理職の教員から「飲み食いはしないように」というお達しがあったそう。
このクレーム以降、まにるしさん自身、家庭訪問途中にお手洗いや飲食をすることがないようにしました。「通常の校内業務でもトイレに行く時間を確保するのは至難の業です。授業中はもちろん行けませんし、休み時間も子どもの側にいる必要があります。常に、トイレを我慢しているので慣れています」と話します。
投稿には、「一切飲みませんを徹底したら、軽い脱水症状になった」という経験談に加え、「好きな時に飲んでください、とペットボトルを手渡す」「トイレを利用してもらってもいいようにトイレをきれいに掃除した」と教員を気遣う保護者側の視点や、「半世紀前の先生は、訪問するお家ごとに必ずトイレを借りていました。名目は、トイレにこそ各家庭の状況が集約されるから」とトイレを借りる意味を示唆する声も。
しかし、一方で「生徒宅のトイレ借りた日にゃ「トイレまでチェックされた!」とか言い出す親もいそう」という声もあり、家庭訪問では微に入り細に入り気を遣わなければいけないのか、と思わされます。
まにるしさんも、さまざまな声に触れ、「訪問時に親と一緒にお酒を飲む先生がいたことにはびっくりしました。今では考えられません」。また、「トイレに子どもの絵があるので見ていってください」と声を掛けてくれる保護者のコメントには、「そんな気遣いがあるのか!」と驚いたそう。
最近は、家庭訪問前に「教員へのお茶菓子は用意しないでください」「玄関先で対応します」と知らせる学校や学級もありますが、お知らせに目を通していないことも考えられます。
まにるしさんは家庭訪問を控える保護者に向けて、強く訴えます。「茶菓子などは本当に気を遣わないで大丈夫です。強いて言うなら住所や地図が分かりにくいと先生が迷子になってしまうので、目印などを記入しておいてほしいです」。
一部の自治体では、X(旧Twitter)やウェブサイトで救急隊員のコンビニ利用について理解を求める声を表明しています。「救急隊員や消防士の休憩に対する市民の意見を見た時にも思ったのですが、当たり前に休める社会になってほしいです。“なぜ休んでいるんだ”ではなく“頑張ってくれているんだな”などと思える気持ちの余裕がほしいです」とまにるしさん。
「みんなが休憩するときは休憩できる社会を子どもたちに示したい。子どもたちが、あたたかい社会を創れるように」と願っています。
■まにるしさんX @55manirush1