パイナップルの葉がランドセルに!? セイバンが開発、廃棄素材の葉を活用 ナチュラルな色合いや質感特徴

小森 有喜 小森 有喜

「天使のはね」などで知られるランドセルメーカーのセイバン(兵庫県)が、パイナップルの葉を主原料としたレザーを使ったランドセル「パイナセル」を発売した。レザーは本来廃棄される葉から作られたもので、子どもたちが地球環境について考えるきっかけになれば、との思いも込められている。担当者に開発の経緯を聞いた。

植物由来のレザー「ヴィーガンレザー」は、動物性レザーなどの代替え品としてアパレル業界でも注目を集める。

「地球環境に優しいサステナブルな素材を探していた中で、パイナップルの葉にたどり着いた」と話すのは開発担当者の香川翔さん。リンゴやキノコなどさまざまな原料のレザーを検討したが、耐久性や質感などの観点でパイナップルの葉が最もランドセルに向いていたという。「本来捨てるものを活用することで、子どもたちに環境問題について考えてもらうきっかけになれば、という思いもあった」とする。

タイ産のパイナップルの葉を現地で加工。繊維を取り出して乾燥させ粉砕、生地へと生まれ変わらせる。繊維を取り除いた後の葉もパウダーにしてコーティングに使うなど、余すところなく活用している。

表面はスエードのような質感で、カラー展開はグリーン、ベージュ、グレーというナチュラル志向の3色。フタの裏側(カブセ裏)にはランドセルの種類ごとに異なる柄をあしらった。パイナップルレザーが生産されている東南アジアの地を想起させるような「自然とともに生活する人々の暮らし」をイメージしている。

さらに特徴的なのは、ランドセルと同じ素材の保護者向けトートバッグも販売している点だ。開発チームのメンバーの間で「子どもの学校行事に持っていく時にちょうどいいカバンがない」「小さいショルダーだとスリッパやファイルなどが入らない」と話題になったことがきっかけだという。子どものランドセルと同じ素材のバッグで「リンクコーデ」も楽しめそうだ。

子どもの視野を広げるきっかけに

ヴィーガンレザーの使用は、CO2排出量削減にもつながる。大量の水で洗浄したり、多くの化学物質でなめしたりする必要がないため、生産過程での排出量は牛革の約1/40、人口皮革の約1/5(同社発表)に抑えられるという。

香川さんは「パイナップルという身近で意外なものからできていることを知ってもらい、どうして廃棄素材を活用しているのか、どうやって葉がレザーになるのか、など視野を広げてもらうきっかけになればうれしい」と話している。

パイナセル(約1300g)とパイナセルライト(約1150g)の2種類があり、価格はいずれも税込64900円。パイナップル型のネームタグ付。同社直営店や公式オンラインストアなどで販売している。

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