国道沿いのカラフルな建物に驚き! 絵本作家・五味太郎さんデザインの小児歯科 楽しい見た目に込めた思いとは

山陽新聞社 山陽新聞社

 岡山市の国道53号岡山北バイパスを走ると、壁4面が鮮やかなピンク、青、黄、黒色で彩られた建物が目に飛び込んでくる。その正体は小児歯科。「楽しい見た目で通いたくなる歯医者さんにしたい」と、院長が絵本作家の五味太郎さん(78)=東京都=に外観や内装のリニューアルデザインを依頼し、3月上旬に完成させた。

 岡山市北区田益にある「かなお矯正・小児歯科クリニック」。外観だけでなく内部も、五味さんの絵本の世界が優しい空間を演出している。

 診療室や廊下、待合室など至る所に、代表作「きんぎょがにげた」に登場する金魚や「ひよこはにげます」のひな鳥など160種類約800点ものイラストが飾られている。スタッフは五味さんが手がけた水玉模様の制服を着用。遊具やおもちゃを置いたスペースも設けている。

 金尾晃院長(44)が2016年の開業に合わせ「先天性疾患や発達障害で受診が難しく、医療機関から通院を断られるような子どもたちに寄り添いたい」と、幼少期からファンだった五味さんに建築デザインをオファー。快諾をもらい、監修を受けた建物で診療を始めた。

 その後8年が経過し、子どもの頃から来ていた患者が大人になっても通い続けられるよう診療室の増設を計画。再び五味さんに依頼し、昨年4月から整備していた。

 完成間近の3月初旬には五味さんがクリニックを訪問。周辺の景色を眺めたり院内を歩いたりしてイメージを膨らませ、イラストの配置などを決めた。

 「子どものハンディキャップをなるべく早く解決してあげたいという熱意に共感した」と引き受けた理由を明かす五味さん。デザインについて尋ねると「計算ではなく遊びの一つ。固定観念にとらわれずフレキシブルにしないと面白くないからね」といたずらっぽい笑顔を見せた。

 絵本と同様、遊び心あふれる建物が仕上がり、金尾院長は「歯医者のネガティブな印象が変わり、つらい治療を前向きに受けてもらえたら」と話している。

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