「どなたか犬をもらって下さい」と張り紙…荒れはてた一軒家に12匹の犬が置き去り、動物愛護団体が保護 妊娠した犬が2匹も「命をなんだと思ってるんだろう」

渡辺 晴子 渡辺 晴子

「母がたおれたため、実家にいかないといけないので
家のかぎはあいてますのでどなたか犬をもらって下さい。
もしくはほごしてもらって下さい!!
〇〇〇(電話番号)まで」

福岡県内の一軒家の玄関先に掲示されていた、犬たちの保護などを訴える張り紙がInstagramで話題になりました。

投稿したのは、福岡県の動物愛護団体「ハッピースマイル」さん(@kagayakuegao)。代表の角谷直美さんによると、この張り紙を目にした近所の住民から動物愛護団体「小さなしっぽ」に相談が入ったとのこと。「小さなしっぽ」から連絡を受けたのは、現場から比較的近かったという別団体「わんにゃんレスキューはぴねす」のメンバーです。現場の様子を見に行くと、荒れ果てた室内に10数匹の犬たちが置き去りに…そこで、県内の動物愛護団体が連携して保護することになったといいます。

投稿には、張り紙の写真とともに室内の様子を映し出す動画も掲載。「なにここは。空き家??」「酷すぎる、、、」「命をなんだと思ってるんだろう」「可哀想だけでは済まされない!」などと驚く人や心を痛める人たちからたくさんのコメントが寄せられています。

誰もいない室内に犬たちを置き去りにした飼い主はどこに? 多頭飼育放棄現場の犬の保護に関わったという角谷さんに聞きました。

室内は荒れ果てふん尿まみれ…劣悪な環境にいたミニピン犬たちは皮膚炎に 飼い主は飼育放棄?

――今回発覚した多頭飼育放棄の現場に角谷さんも足を踏み入れたとのこと。張り紙には「母がたおれたため、実家にいかないといけない」と書かれていましたが、飼い主さんと連絡がとれましたか?

「事実かどうか分かりませんが、張り紙の下に書いてあった電話番号にかけたら飼い主の『元旦那』と名乗る方が出ました。住まいは別にある方。保護するため室内に入る際、鍵で開けてもらいました」

――室内の様子は。

「2月中旬に保護に入りました。室内に入る扉を開けると、一気にふん尿の悪臭でした。犬たちは逃げ回っており、室内一室どころではなく、居間や個室やキッチンや2階まで家の中全てを自由にしていたようで、家の中はどこも荒れ果てごみなどが溢れ、ふん尿まみれ。また室内には無数のクモの巣もあり、長く放置された様子に見えますが、数日前まで飼い主はこの環境に住んでいたようです。いったい、どこでどうやって寝ていたのか…謎に感じるほどの状態でした」

――保護した犬は何匹?

「ミニピン(ミニチュア・ピンシャー)という犬種で、12匹を保護しました。劣悪な環境にいたので、ほとんどみんな皮膚炎がありました。また膣脱(ちつだつ)手術をした子がいたり…妊娠していた犬が2匹いました。1匹はまだ出産していません。もう1匹は、5匹出産しましたが、現在3匹が亡くなってしまいました。近親交配の可能性からかもしれません。生き残った子たちも元気に成長ができるか不安なところです」

――既に現場は多頭飼育崩壊も起きていたようですね。

「そうです。増えた原因は不妊手術をしていなかったからですね。また家のすさまじい荒れ具合にも驚きました。動物を守らなければならない責任ある飼い主自体が、生活の危険の察知や生活衛生面の管理ができなくなって、もたらした結果かと思われます。その不幸の巻き添えにあったのが、罪のない犬たちです。もっと早い段階で周りに助けてくれる人がいなかったのか、なぜあそこまでなるのに崩壊している事実が分からなかったのか…と悩ましく感じるケースでした。今後もこうした現場に置き去りになった子たちのレスキューはできる限り取り組んでいきたいと思います」

角谷さんによると、保護した12匹のうち6匹は京都の団体に委託。残りの6匹は福岡の団体に振り分け、預かりとなりました。現在、妊娠・出産した2匹と子犬以外は里親さんが決まったそうです。問い合わせは、「ハッピースマイル」さんのアカウント(@kagayakuegao)まで。

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