磯村勇斗「作品がどんな風に届くか怖さもあった」 障害者施設殺傷事件を題材にした映画「月」で助演男優賞【おおさかシネマフェスティバル】

黒川 裕生 黒川 裕生

2023年は「最後まで行く」「波紋」「渇水」「月」「正欲」という5本の映画に出演し、現在はTBS系ドラマ「不適切にもほどがある!」のムッチ先輩役で注目を集める俳優の磯村勇斗さんが3日、おおさかシネマフェスティバルの表彰式に出席した。磯村さんは障害者施設での殺傷事件を題材にした「月」で助演男優賞を受賞。「難解で社会的なテーマも強い作品だったのでどういう風に届くか怖さもあった」と制作時の心境を明かした。

「月」は辺見庸さんの同名小説が原作。メガホンを取ったのは「舟を編む」「茜色に焼かれる」「愛にイナズマ」などで知られる石井裕也監督で、本作で監督賞を受賞。磯村さんは実行犯の青年という難役を演じた。主演は宮沢りえさん。

大きな拍手を浴びながら登場した磯村さんは、総合司会の浜村淳さんから目標とする俳優を聞かれ、「いないですね」と即答。補足するように「尊敬している役者さんはもちろんたくさんいますが、目標や憧れは僕はないです」と語り、強い意志を覗かせた。

受賞スピーチでは「このような形で大阪に来られたことをすごく嬉しく思います。『月』は非常に難解であり、社会的なテーマも強い映画だったので、作っている最中はどういう風に届くかなという怖さもあったのですが、このような賞をいただけたことで、皆さんの心なのか脳内なのか…少しでも届けることができたんだなと実感しています」と喜びと安堵をにじませていた。

表彰式では、監督賞に輝いた石井監督も登壇。大阪芸大で映画を学んだということもあり、「大阪に来ると初心に返るような気持ちになります」と表情を緩めた。

「月」での受賞については、「僕も含めて多くの人が普段見ることもなく、もっと言うと、見ようともしない世界を描くために、それをどう広く、深く見せるかということに一番苦労しました」と振り返り、「スタッフやキャスト、関係者の皆さんにあらためて感謝したい。大変なこともありましたが、みんなで一生懸命、この作品を作ることができて本当に良かったと思っています」と噛み締めた。

◇  ◇

おおさかシネマフェスティバルは、「映画ファンのための映画まつり」を謳い、1976年から続く関西の名物イベント。関西の映画ファンの投票で作品賞や個人賞を決め、毎年表彰式を開いている。

この日の出席者は次の通り(敬称略)。

主演男優賞 鈴木亮平「エゴイスト」(※ビデオメッセージ)

主演女優賞 松岡茉優「愛にイナズマ」

助演男優賞 磯村勇斗「月」

助演女優賞 中村久美「高野豆腐店の春」

新人男優賞 黒川想矢、柊木陽太「怪物」

新人女優賞 サリngROCK「BAD LANDS バッド・ランズ」

      中野有紗「PERFECT DAYS」

監督賞 石井裕也「月」

脚本賞 港岳彦「正欲」

撮影賞 近藤龍人「怪物」

音楽賞 上原ひろみ「BLUE GIANT」

新人監督賞 金子由里奈「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」

      阪元裕吾「ベイビーわるきゅーれ2ベイビー」

ワイルドバンチ賞 松本優作「Winny」

特別賞 大森一樹

    関本郁夫

特別功労賞 浜村淳

まいどなの求人情報

求人情報一覧へ

おすすめニュース

気になるキーワード

新着ニュース