「濁点ひとつ」のミスで終わり… 製作150時間超え、小説を表現した”切り絵”が息を飲む美しさ「天才っているんだな」「異次元すぎる」

門倉 早希 門倉 早希

「#フォロワー1万以下の神絵師発掘したい」そんなハッシュタグとともに投稿された1件のポストに11万いいねがつき、大きな注目を集めています。

Xユーザーの梨々(@ririkirie)さんは、切り絵作家として活動している方。冒頭のハッシュタグをつけてXに自身の切り絵作品を投稿したところ、1.6万回以上リポストされ、今なお拡散され続けています。

梨々さんが投稿したのは、「桜の樹の下には」(梶井基次郎著)「赤い蝋燭と人魚」(小川未明著)をテーマとした切り絵作品(いずれも著作権の保護期間が満了を迎えた作品)。人魚の長い髪や複雑に交わる木の根など、絵柄部分のディティールはもちろん、文字も一枚の紙から一つひとつ丁寧に切り出されており、梨々さんの技術が光ります。

使うものはデザインナイフ1本

梨々さんが切り絵を始めたのは、9歳のとき。版画・切り絵作家である滝平二郎さんが絵を手がけた「モチモチの木」をきっかけに切り絵を知り、自分で作ってみるようになったといいます。

読書が好きなことから、文学作品やそれらからインスピレーションを得た絵画モチーフの作品を作ることが多い梨々さん。「日本語がとても好きで言葉というものは、文字記号以上の重みや風情をもっていると感じております。言葉自体が持つ感情の様なものを切り絵で表現できたらと思っています」と、作品に込めた思いを語ります。

製作には、構図や構想を膨らませ形にしていく工程で5~30時間、原案作りに7~24時間、切り出していく工程で100~150時間ほど要し、やっと一つの作品が完成するそう。

紙を切り始めたら、使うものはデザインナイフ1本。集中力を切らさず、常に繊細な動きが求められます。手元が少しブレただけで失敗に繋がり、今回のような文字を扱う切り絵であれば「濁点ひとつ切り落としてしまえば終わり」―。失敗した際は涙や声が出るほどやるせない気持ちがありながらも、心を鬼にして新たに紙を切り出すのだといいます。

梨々さんがそのように精魂込めて作り上げた作品は、息を吞むほどの繊細さで大きな話題に。「天才っているんだな」「異次元すぎる」「こんなに手先が器用な人がいるなんて、人間の可能性ってすごい」とコメントが相次いでいます。

反響を受けて梨々さんは、「大変恐縮しております。普段こんなにも見ていただける事は無いので、緊張する気持ちが大きいですが、それでも見ていただけるということは創作者として大変光栄ですし、感動したと言って頂けるとこれ以上の喜びはございません」と喜びを語りました。

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