「お口、クチュ、クチュ。モンダミン♪」あのCMソングがJR神田駅の駅メロに 副駅名は「アース製薬本社前」…“異例の企画”が実現した舞台裏

平藤 清刀 平藤 清刀

昨年(2023年)の秋ごろから、JR山手線・神田駅である異変に気付いた人はいるだろうか。通勤や通学で毎日利用する駅に、ある日「お口、クチュ、クチュ。モンダミン♪」というCMのメロディが流れ出したら、思わず聞き入ってしまうのではないか。

雑談から始まったプロジェクト

モンダミンは、アース製薬株式会社(以下、アース製薬)が1987年から製造販売している洗口液。短いフレーズのCMソング「お口、クチュ、クチュ。モンダミン♪」のメロディが印象的だ。それが昨年の10月から神田駅の発着メロディに採用され、駅名の表記も「神田(アース製薬本社前)」となっている。

駅の発着メロディは「駅メロ」ともいわれ、JRや私鉄で、駅ごとに何らかの関連がある曲が選択されることが多い。たとえば筆者の地元である大阪だと、大阪駅「やっぱ好きやねん(やしきたかじん)」、新今宮駅「交響曲第9番・新世界より(ドヴォルザーク)」、大阪城公園駅は「法螺貝(オリジナル)」など。だが神田駅のように、企業のCMソングが採用されるケースは珍しい。

どのような経緯で駅メロに採用されたのか、アース製薬に聞いた。

「社内で『神田駅の発車メロディが〈お口、クチュ、クチュ。モンダミン♪〉になったら面白いよね』との雑談が盛り上がり、代理店様に相談をしたことがスタートです。そして昨年(2023年)1月に『前向きに検討したい』とJR東日本さまから代理店にご回答いただき、10月2日のお披露目となりました」

きっかけは、このような何気ない雑談からだったという。しかも駅名表示には「アース製薬本社前」という副駅名まで付いている。失礼ながら「よく実現したな」という印象だ。

「当社は1991年から、この神田の街で営業活動をはじめさせていただきました。このJR神田駅は多くの社員が日常的にありがたく利用させていただいております。当広告展開については、神田の街と共に今後も歩みたいと願う、弊社の姿勢をJR神田駅ご利用の皆様にもお伝えできると考え、JR東日本様・関係各所様と多面的に検討を行い、実施することにいたしました」

ところで、プロジェクトは順調に進んだのだろうか。アクシデントやトラブルはなかったのか気になったが、大きなトラブルはなかったようだ。

「駅に関わるということは、街全体に関わるため、JR東日本様からご紹介いただいた神田の各町内会の会長さんたちに助けていただいたり、駅と区では行政区分が違っているので申請が煩雑だったりと、お披露目までは感謝と勉強の連続でした」

東西南北4つの出口には商品名がつけられた

駅メロと副駅名のほかにも、神田駅にある東口、西口、南口、北口には、アース製薬の商品名がつけられた。

東口は「サラテクト口」、西口は「バスロマン口」、南口は「アースジェット口」、北口は「モンダミン口」となっている。

この4商品が選ばれた理由を、広報室は「いずれも弊社の代表商品となり、神田の皆様に商品を知っていただきたいとの思いから選定しました」としている。

ⅩにはGoogleマップの画像を添えて「なんだこれ?」と驚きを隠せない投稿が見られたり、駅メロをわざわざ聞きに行くユーザーもいたりして「聞いてきました」、あるいは「思わず口ずさんじゃいますね」、「可愛い! 楽しくなる感じ」などのほか「今日はダニホイホイ買ったよ」と同社の商品を購入したことを投稿するユーザーもいて、盛り上がっているようだ。

アース製薬とこのようなコラボレーションを行うことに対して、JR東日本にコメントを求めたところ「本件は当社並びに関係者を含め、多面的に検討を行い実施することができました。これからも皆さまに愛される神田駅を目指してまいりますので、今後ともご愛顧賜りますようお願いいたします」とのことだった。

また、アース製薬も「JR神田駅は、2019年に100周年を迎えられました。弊社は神田の地で32年、地域の皆様のおかげで、2025年に設立100周年を迎えますので、これからもアース製薬に親しんでいただけるような100周年記念事業を考えていく予定です」とのこと。ちなみに「お口、クチュ、クチュ。モンダミン♪」のメロディは5年間流れるそうなので、あと4年半は神田駅を乗り降りする乗客の耳に届き続ける。

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