忠犬おみつくんと、おみつくんを見守るディオネちゃん
ーーおみつくんの健気さもディオネちゃんの洞察力も、どちらもそれぞれの魅力ですね。
「急に起こった出来事に対し、目の前のことしか考えられなくなって突っ走るのがおみつで、頭をフル回転させて状況を整理&把握して行動するのがディオネです。おみつは飼い主…というより“私”に忠実で、いつも私の側にそっといてくれるような子です。夫と少し言い合いをした時などは、すぐに私の方に飛んで来て、夫をやっつけようとしてくれることもしょっちゅうです(笑)。ディオネは繊細で警戒心が強く怖がりですが、愛情深く、家族の絆を何よりも大切にしてくれます。また、感情表現も上手なので、人間の言葉は話せませんが、ディオネと接していると会話をしているような感覚になります。
ディオネとおみつの上下関係はハッキリしています。おみつが完全に上の立場で、ディオネはおみつに決して逆らいません。2匹の関係性については、飼い主は口出ししておらず、彼らが作りあげたものです。おみつがか弱いことをディオネはしっかりと理解しているので、常におみつを見守っているような感じです。ディオネはおみつのことが好きで好きでどうしようもないのですが、おみつは比較的あっさりしているので、ディオネの猛烈な愛を受け流しているように見えます(笑)」
商品にならなかった「元保護犬」→愛おしい忠犬に
大好きな飼い主さんを助けようと必死だったおみつくんは、生後4ヶ月の時、L I S Aさんご夫妻がたまたま訪れたペットショップで「里親募集」の紙を貼られて陳列されていた、元保護犬なのだそうです。
「生まれつき膝蓋骨脱臼(パテラ)の症状を患っており、要は、商品として売れないため里親募集の対象になっていました。今後歩けなくなる可能性もあると店員さんに言われました。夫の希望でショーケースから出してもらったところ、喜んで喜んで、ものすごくはしゃいでいました。私が着ていたフワフワの羽織物をカミカミしていたのを今でも覚えています。そして、再びケースに戻ったおみつは本当に悲しそうな顔をして、奥の方に座ってこっちを見ていました。おそらく、何度もそういう落胆を経験していたんだと思います。
その後、悩むことなく引き取ることにしました。初めて抱っこした瞬間から『家族』でした。どんなことがあってもこの子を幸せに出来るし、歩けなくなってもそれなりの生活を送らせてあげられるし、そうならないように最善の努力もしてあげられる、という自信しかなかったです。実は私は元動物病院勤務のスタッフで、少しだけ犬に関しての知識があったので、経験を活かすことも出来ると思ったんです。引き取ったおみつは翌日からもう、私の足に絡みついて寝るような子でした。今でも変わらず毎日隣で寝ており、24時間365日同じ空気を吸っています」(L I S Aさん)
おみつくんの特技は「石で描く絵」
そんなおみつくんには実は、「石で絵のようなものを描く」という、すごい特技があります。
「1歳になる前くらいから、おみつにはお散歩中に見つけた好みの石や松ぼっくりを家に持ち帰るという癖がありました。そのうち石を前足で転がすようになり、それがレベルアップして、石を力強く押したり引き寄せたりして、地面にお絵描きするような行動になっていきました。普段はフニャフニャしたよくわからない絵のようなものが出来上がりますが、魔法陣のような円状の仕上がりになったり、昨年の秋に砂浜に行った際は、さくらんぼやバイクのような(?)お絵描きをしていました」(L I S Aさん)
L I S Aさんご夫妻の愛情に包まれて、アートな才能も発揮しているおみつくん。ディオネちゃんと共に、これからも伸び伸びと楽しい姿をたくさん見せてくださいね。