「同じブランドばかり・・・」客の厳しい言葉も糧に バレンタイン催事をどう差別化するか、人気企画を生み出す百貨店担当者に聞いた

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シェフとともに成長するイベントに

毎年さまざまな企画を打ち出してはいるものの、お客のチョコ欲は止まりません。「お客様から『最近の阪急は同じブランドばかり・・・』と厳しいお声もいただいていたので、コロナ禍も収束したので、新規ブランドの開拓をしていこうと思いました。これから10年、20年と阪急と共に歩んでくださる仲間を増やして行きたいという思いもあります」と、登場した企画が「ネクストジェネレーション~チョコレート界のネクストランナー~」。既存の有名シェフではなく、次世代のショコラティエやパティシエを主役としたコーナーです。

毎年予約が殺到する「イヴァン・ヴァレンティン」のプロデュースチームが手掛けるブランドで、日本に初登場する『ワンス・アポン・ア・タイム』(東京と名古屋の計3カ所のみ)といった話題のブランドとともに並ぶのが、大阪・十三の「Touchez du bois(トゥシェ ドゥ ボワ)」。バレンタイン催事はここだけに参加する、小さな6坪ほどのパティスリーです。

その狩野智シェフは、阪急との出会いが商品作りにも刺激となり、「高見さんと、ほかのパティシエの方々と和歌山の善兵衛農園へ伺いました。7代目の井上さんのお話を聞いていくうちに、ここのかんきつの魅力を活かすスイーツを考案できるのではないかと。阪急さんからはコラボしてください、限定商品を作ってくださいなどは一切言われていないのですが、段々畑で陽光をたっぷり浴びて育った姿を見て、葉っぱ、枝、花、皮…と木そのものを表現したいという思いがわきおこりました」。

そして、今年の同店限定商品として誕生したのが「クリエイション善兵衛農園」(ボンボンショコラ4粒入2281円)。柑橘の枝を煮出したほかに、枝を軽く炙り香りをキャラメルに移して「枝」を表現したものなど、葉、花、皮の4種、それぞれ紅みかんガナッシュを組み合わせ、順番に食べ比べを楽しめるように。ほかにも、とろけるフルーツ味のキャラメルトリュフや、八朔のピール(皮)を使ったスイーツなども含めて、個性あふれるラインアップとなっています。

高見さんに、なぜ、そういった機会を設けたのか尋ねたところ、「各パティスリーのシェフが生産者との接点がなかなか持てないなか、どんな人が関わっているのかを知ることで、お菓子に対する想いも変わるのではないかと思っています。何か感じることがお互いにあれば商品化したくなるのが作り手の心情。顔のわかる生産者さんが作ってくれた原料や素材を無駄にすることなんてできない、しっかり活かしたいと思われるのではないかと思っています。そこで、作り手と作り手を繋ぐ役目もできれば…シェフと農家さんが繋がり、お互いをリスペクトしあえる関係がバレンタイン以外でも続くことを願っています」と語ってくれました。

チョコを純粋に楽しめるイベントへと昇華した高見さん。その背景には「常にお客様に楽しんでいただくために、どの角度からどのようにアプローチをしていくかを考えています。今までもこれからも、カカオ生産者をはじめ、チョコレート・カカオに関わる皆さんがHAPPYでいられるよう同じ思いの仲間を増やし続けていきたいです」。今年のお客の動きから、どんなニーズを発見されるのか…今後に期待せずにはいられません。『バレンタインチョコレート博覧会』は2月14日まで。

■阪急うめだ本店 https://www.hankyu-dept.co.jp/honten/
■『バレンタインチョコレート博覧会』https://website.hankyu-dept.co.jp/honten/h/valentine/

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