近鉄特急といえば「おしぼり」!? かつては女性スタッフが蒸しタオルを配布、紙おしぼりとなった現在も…半世紀以上続くこだわりのサービス

新田 浩之 新田 浩之

近鉄特急には他の関西大手私鉄には存在しないユニークなサービスがたくさんあります。そのひとつが「おしぼりサービス」です。近鉄によるおしぼりサービスは関西圏では知られており、鉄道ファンではない祖母もよく「近鉄特急はおしぼりが出るから」と言っていました。このおしぼりサービス、地味ながら何気にこだわりがあり、しかも歴史も長いのです。

2020年から「あの車両」が加わった近鉄特急のおしぼり

現在の近鉄特急のおしぼりサービスはセルフサービス。洗面台やデッキにあり、紙おしぼりとなっています。

おしぼりのデザインは近鉄オリジナルです。ずらりと近鉄特急が並び、その下に「ご乗車ありがとうございます」のメッセージが。思わず嬉しくなって、鉄道ファンでなくてもSNSにアップしちゃいたくなります。

ところで、筆者はコロナ禍直前の2020年2月に、特急車両12200系(2021年11月に引退)に乗車しています。その際もおしぼりの写真を撮っていますが、よく見ると現在のおしぼりのイラストよりも1車両少ないのです。

現在のおしぼりは、2020年3月に登場した80000系「ひのとり」が追加されています。しかも、イラストの追加にあわせて、印刷の色も青色から「ひのとり」カラーに近い赤色に。このあたりのこだわりが実に近鉄らしいです。

近鉄特急とおしぼりの関係は半世紀以上

近鉄によるおしぼりサービスの歴史は長く、スタートしたのは1951年のこと。長らく、女性スタッフが車内にて蒸しおしぼりを配布していました。

1950年代は現在と異なり、大量の蒸しタオルを用意すること自体が難しい時代でした。そこで、近鉄では高安と伊勢中川に蒸しタオルを用意する設備を設置。

そして、車内販売とセットでアツアツのおしぼりを渡していました。おしぼりの配布サービスは近鉄特急にとって欠かせない存在になりました。

しかし、合理化により乗客に直接手渡す形でのおしぼり配布サービスは1990年代半ばに、一旦廃止となりました。

その後、2013年に登場した観光特急「しまかぜ」ではアテンダントが乗客に直接紙おしぼりを配布しています。

このように、近鉄特急とおしぼりの間には興味深く長い歴史が隠されているのです。

最後に、筆者が現在のおしぼりのイラストに関して気になる点をひとつ。観光特急「しまかぜ」「青の交響曲」は描かれていますが、2023年4月に登場した「あをによし」は含まれていません。いずれ、「あをによし」入りのおしぼりが登場するのでしょう。

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