丸太が動かない…「大丈夫ですか?」警官を救った運送会社社長「能登地震救援行けなかった自分にできること」

伊藤 大介 伊藤 大介

丸太を撤去できず困っていた警察官を、通りかかったトラック運転手が助けました。

岡山県の運送会社「LANTRA(ラントラ)」の北川翔社長は県道を通りかかった際、大きな丸太の前にたたずむ警察官を見かけ、声をかけました。丸太を放置すれば、車が乗り上げて事故が起きる恐れがあります。警官から助力を求められたため、トラック荷台に備えたクレーンで丸太を吊り上げ、安全な歩道脇に置きました。

北川社長の胸には1月1日の能登半島地震への思いがありました。「救助物資を能登へ運びたかったけど、できなかった。代わりに被災地へ駆けつけてくれた警察官や消防士さんのために、自分ができることをしたかった」と話す北川社長に聞きました。

北川社長が経営する「ラントラ」は建築資材の輸送や外構エクステリア施工を担う運送会社。北川社長は1月16日夕方、岡山県新見市の県道で丸太が転がっている現場に出くわしました。

北川社長がトラックを駐めて「大丈夫?」「どうすればええ?」と声をかけると、警官から「手伝ってくれたら助かります」「(道路脇へ)寄せてもらったら、丸太回収を(業者に)頼もうと思って」と求められたため、「吊ろうか」とクレーンを動かしました。

「丸太は400キロ~500キロくらいあって、とても人の力で動かせる重さではなかったので、クレーンで吊り上げました。『ありがとうございました』と礼を言われましたが、いつも地域の治安を守っていただき、被災地支援にも駆けつけた警察や消防の方のために何かしたいと思っていたので、『困ったらいつでも呼んでください。これからも頑張ってください』とお声をかけさせてもらいました」

北川社長は能登半島地震が起きた元旦、たまたま富山県に接する長野県にいました。運送業を営む者として、「被災地に救援物資を届けたい」という思いにかられましたが、石川県の同業者から「今はやめた方がいい」と押しとどめられ、後ろ髪を引かれながら岡山県に戻りました。

能登半島地震の被災地には、岡山県警からも広域緊急援助隊が派遣され、被災者の救助、救援に当たりました。北川社長は「石川県行ってくれたり、日本の為に頑張ってくれてんねんからコチラこそありがとう!」とX(旧Twitter)で警察官にあらためて礼を述べました。

トラック運転手に付きまとう「事故を起こす」「危険運転をする」といった悪いイメージを払拭(ふっしょく)しようとSNSやYouTubeで活動を続ける北川社長。ひき逃げ犯を捕まえて表彰されたこともあるといい、「少しでもトラックドライバーの印象を良くしていけたら」と話していました。

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