今週放送中の『ブギウギ』(NHK総合)第16週「ワテはワテだす」では、スズ子(趣里)が新境地となる芝居の世界に飛び込んだ。しかし舞台の座長であり、演出兼主演の喜劇王・タナケンこと棚橋健二(生瀬勝久)にまともに相手にしてもらえない。そんななか、付き人を辞めると言って出ていった小夜(富田望生)が再びスズ子の前に現れる。小夜は恋人・サム(ジャック・ケネディ)にプロポーズされるが、スズ子は2人の結婚に大反対だ。
74話でひときわ光った愛助の気配り
本日1月17日放送の74話で愛助(水上恒司)は、感情的になっているスズ子と小夜、そして、思いがうまく伝わらず戸惑っているサムの3人を思いやり、サムだけを連れ出して話を聞いた。そしてスズ子と小夜に2人だけで話をさせたあと、スズ子にサムの本心を伝えるのだった。
「(サムに)聞いたらスズ子さんのこと、小夜ちゃんの家族や思たんやて。家族に捨てられたって聞いてたのに、スズ子さんが現れたから、なんやほっとした言うてたわ。家族がおったんやったらよかったて。2人のこと、もっぺん考え直してあげたらどうや」
歌手・福来スズ子の“強火担(つよびたん=熱烈なファンのこと)”として、目を爛々とさせて、オタク特有の立板に水のごときマシンガントークで“推し”の魅力を語るだけが愛助ではなかったのだ。社会人として、村山興業の後継者見習いとして経験を積み、さらに広い視点で物事を考えられるようになった愛助の成長と、パートナーとしてスズ子への理想的なフォローについて、制作統括の福岡利武さんに聞いた。
スタッフに愛助の“スズ子愛”を熱弁するほどに深い、水上恒司の役への理解
「愛助を演じる水上さん自身が『自分がいちばんのスズ子さんのファンなんだ』『スズ子さんの背中をしっかり押す役なんだ』ということを、僕らスタッフにも熱弁するぐらい、よくよく感じてらっしゃいました。73話、タナケンに気難しい態度をとられて、スズ子が家に帰って愚痴を言うシーンで、愛助がスズ子の背中を押すのですが、タナケンはいい舞台を作っているから、それだけ厳しさもある、だからこそトライすることが素晴らしいんだ、というようなこともしっかりと言うんですね。あのシーンはとても説得力がありました」
愛助は「本質がわかる男」
また、スズ子へのフォローのみならず、小夜とサムに対する愛助の温かい眼差しが印象的だった今日の回。サムに対して敵意をむき出しにするスズ子に愛助は、「その感じ、どっかで見たなあ思て」と言って笑い、スズ子と小夜が積み重ねてきた日々に想いを馳せる。そんな愛助について、福岡さんはこう続ける。
「愛助というのは、本質がわかる、違いのわかる男なんですよね。水上さんも、そこを強く意識されていたと思うんです。スズ子のエンターテイナーとしての素晴らしさを心から尊敬していて、そのうえで愛助は物事を『ちゃんとわかっているんだ』というところをしっかり押さえて演じてくださいました。小夜とサムのことに関しても、状況を冷静に見渡して、なおかつ大きな包容力で接する愛助が、とてもいいなと。スズ子も器が大きいのですが、愛助もまた、違うかたちで器が大きくて包容力があって。今週の愛助は本当に素敵だなと、僕も思いました」
愛助の温かな説得を受けて、スズ子はこのあと、小夜にどんな言葉をかけるのだろうか。
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『ブギウギ』
【出演】趣里 水上恒司/草彅剛 蒼井優 菊地凛子 生瀬勝久 小雪 水川あさみ 柳葉敏郎 ほか
【主題歌】「ハッピー☆ブギ」中納良恵 さかいゆう 趣里
【脚本】足立紳 櫻井剛
【音楽】服部隆之
【語り】高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー)
【放送時間】
▽NHK総合
毎週月曜~土曜 前8:00~8:15/(再)後0:45~1:00(※土曜は一週間を振り返り)
毎週日曜(再)前11:00〜11:15
翌・月曜(再)前4:45~5:00(※日曜、翌・月曜は、土曜版の再放送)
▽NHK BS・NHK BSプレミアム4K
毎週月曜〜金曜 前7:30~7:45
毎週土曜(再)前9:25〜10:40(※月曜~金曜分を一挙放送)