「大みそかに世界的ギタリストも訪れた」保護猫がもてなす猫バーがSNSで話題「素敵なお店」「飛行機乗って行く!」

渡辺 晴子 渡辺 晴子

保護猫ちゃんたちがおもてなしをする猫バーがInstagramで話題です。

投稿したのは、東京・新宿の歌舞伎町で“唯一の癒しバー”として知られる猫バー「Cats in the Box.」さん(@cats_box_bar)。世界最高峰ギタリストでシンガー・ソングライターのジョン・メイヤーが、CNNが昨年の大みそかに放送したカウントダウン番組にリモートで出演した猫バーとして注目を浴びました。

2017年4月にオーナーと仲間が「好きなもの」を詰め合わせたバーとして営業を開始。今や猫好きが集まる店とのことですが…動画には、お客さんのいない店内のカウンターで自由に戯れる猫ちゃんたちの姿が映し出されています。投稿には、猫好きの人たちや「行きたい!」と猫に癒されたい人たちからたくさんのコメントが寄せられました。

「素敵なお店!!」
「にゃんママ?にゃんマスター?」
「猫ちゃん達の指名料あるんですか?笑笑」
「東京かー!飛行機乗って行く!」
「あー癒されに行きたいなり」

多くの人たちの心をつかんだバーの猫ちゃんたち。オーナーさんが保護された猫ちゃんたちが“出勤”しているとか…どんなバーなのでしょう? オーナーさんに聞きました。

オーナー夫婦が保護猫たちをバーに連れてきたら…猫に癒されるお客が続出 「猫バー」と呼ばれるようになった

──猫バーを始められた経緯をお聞かせください。

「もともと酒好きな私たちオーナー夫婦が普通の『Rockバー』としてオープンしましたが、暇な時に当時飼っていた猫ちゃんたちを連れてきてみました。そうすると、歌舞伎町界隈で働いてる子たちがすごく気に入ってくれて来てくれるようになったんです。

昔から子猫を保護したり行き場のない子猫たちを引き取って里親を探したりしていたこともあり、当時から多頭飼いでした。里親にかわいがってもらうためには人馴れした方がいいので、いろいろな人とたくさん触れ合うことで人間への恐怖を取り除けたらと思って連れてきたのがきっかけです。もちろん暇な日に一人でお店にいるのが寂しいのもありましたけど…。

またオープン後も時々保護をしたり、拾ってしまったりしていると、里親を探して欲しいなどの相談も受けるようになりました。良い里親がなかなか見つからない子たちもいて、行き場がないならうちで働く?みたいな感じで引き取ったりもしておりました。最初から猫バーという認識ではなく、ただバーに猫がいるというだけのことだったのですが、いつの間にか猫バーというふうに言われ出した感じです」

──バーに“出勤”されている猫ちゃんたちはほとんど保護猫とのこと。

「はい、保護猫です。我が家で生まれた子もいます。主要メンバーは、雄猫が黒兵衛くん(まもなく21歳)、権蔵くん(5歳)、金太郎くん(4歳)、九兵衛くん(2歳)、余市くん(1歳)、白州くん(1歳)、景虎くん(まもなく1歳)の7匹。雌猫は夢ちゃん(7歳)、鈴々ちゃん(4歳)、蘭々ちゃん(4歳)、知多ちゃん(1歳)、菊姫ちゃん(まもなく1歳)の5匹です」

駐車場の鉄骨に挟まれて出られなくなって保護された子猫も成長、今やバーの人気者に

──猫ちゃんたちの中で、心に深く残るエピソードのある子は?

「朝とある駐車場で子猫の鳴き声が聞こえ、当時急いでいたのもあって『子猫がどこかで生まれたんだ』くらいに考えていたのですが。夕方車を出しに行くと、まだ同じところから鳴き声が聞こえてきました。これだけの時間、鳴き続けているということは親とはぐれているんじゃないかと周囲を探したら、駐車場の鉄骨に挟まって出られなくなっている子猫がいたんです。生後2日ほどの子。それが夢です。急いで連れて帰ってミルクを作って飲ませて、なんとか成長してくれました。夢との出会いはお店を始める前でした。

また、初めてうちにきた猫ちゃんで、犬派だった私たちを一気に猫の虜にした子がいました。ツンデレって言われる猫ですが、その子はデレどころかデレデレでした。しかし、オープンの数年前に15歳で亡くなってしまいました。やはり初めての子なので思い入れは格別で。その子と同じ柄の男の子の子猫がいたらいいなと思っていたところ、仙台の方にそういう子がいるという情報をいただき、連絡を取って次の日にお迎えに行きました。それが、茶トラの看板猫・権蔵です。まだ目も開いていなかったので、毎日お店に連れてきていたら、お客さまがミルクをあげてくれたり、トイレをさせてくれたり、一緒に育ててくれました。その頃からの常連さんは今でも権蔵推しでいてくれます。人に慣れすぎて、すぐお店から脱走することもありますが…もちろんすぐ自分で戻ってきます(笑)。

ひとりひとり思い出はありますが、やはり心に残るのは出会いと別れの時ですね。生まれた時や拾った時。連れてこられた時。また老衰に近い状態で亡くなった子や病気を患い看病しながら亡くなった子。その時のことは忘れられません。また今いる黒兵衛の20歳になった瞬間は泣くほど喜びました。特に体が弱い子だったので他の子より長生きしたことに感動しました」

──そんな猫ちゃんたちとの出会いと別れを繰り返して今があると。とはいえ、コロナ禍でお客さまがゼロの時もあったとか。

「正直まだまだコロナが終息したわけではないので、お酒のお店はどこも同じようだと思いますが、客足が戻ったとは全く言えない状況です。乗り越えられているとは思えないものの、やはりお客さまがお店のシステムやルールをいろいろ決めてくれて、すごく助かってます。俗に言う単価上げというシステムですが、やはり場所柄安価ではやっていけないので。

例えば、おやつをあげて毎月のナンバーを決めたり、おやつのあげすぎ防止のために少し値が張るおやつを作って、指名の猫ちゃんに入るポイントを多くして推し活の対象にしたり。猫ちゃんがお店にあるベルを鳴らすと1杯飲んでもらったりと、お客さまが喜んでそういうシステムに乗っていただけるおかげで、ここまでやってこれたと思っています」

──お客さんの反応は?

「店ではおやつのポイントでナンバーを競ったり、ベルを鳴らされるかヒヤヒヤしながら猫ちゃんと遊んだり。ガチャがあるのですが、ツーショットチェキを狙った結果テキーラを飲むハメになったり(笑)。場所柄、泥酔の人が来るのではと心配されますが、そういう方はほぼ来ません。みなさん猫に優しく、無理なスキンシップもしませんし、タバコも店内で吸わないで我慢してくれてます。また子猫も時々来るので、お客さまがミルクをあげるなどお世話をしてくれたりと一緒に育てている感覚もあったり。とにかく皆さん癒されたと言って帰って行きますね」

ディープな街、東京・歌舞伎町。猫好きな方はぜひ保護猫ちゃんたちに会いに来てくださいね!(※ソフトドリンクもあります。持ち込みのおやつはご遠慮ください)

   ◇  ◇

▽猫バー「Cats in the Box.」
東京都新宿区歌舞伎町2-11-7メトロビル7F
営業時間は20:00~5:00ごろ(誰も来なければ早閉まいすることもあります)
不定休。問い合わせは公式LINEから。

公式LINE「Cats in the Box.」

「Bar Cats in the Box.」さんXアカウント(@Bar_Cats_Box)

「箱に入った猫」さんInstagramアカウント(@cats_box_bar)

youtube「GONZOちゃんねる」 

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