「龍王山」と呼ばれる山が全国一多いのは岡山県 理由は「竜が水の神様」がヒントかも?

山陽新聞社 山陽新聞社

ことしは辰(たつ)年―。岡山県は「龍(竜)王山」と呼ばれる山の数が全国一だという縁起の良さそうな話を耳にした。理由は「晴れの国」の土地柄に関係があるそうだ。かつて調査した就実学園の石田省三企画監(73)=地理=に話を聞き、謎に迫った。

石田さんによると、全国一のデータは国土地理院の地図検索機能で収集できる。地理院地図に「龍(竜)王山」を入力し、居住地以外を選択すれば、全国に68あるのが分かる。岡山県に絞ったら23で3割を超えていた。

全国の3分の1

ただし「厳密に山に絞った統計ではない」と国土地理院。そこで「日本山名事典」(三省堂)を調べてみた。竜王山と龍王山の表記に従い、それぞれ「りゅうおうざん」と「りゅうおうやま」の二つの読みを拾うと、全部で61あった。岡山県にあるのは3分の1を超える22だ。

例年、岡山県内最多の初詣客でにぎわう最上稲荷(岡山市北区)も「(高松)龍王山」にある。近くに龍泉寺が立ち、龍王池もある。そばの同足守地区にも龍王山がある。

「竜は水の神様とされる」と石田さん。つまり龍王山が多いのは、降水量が少なく、干ばつに悩まされた証しと推測されるそうだ。各地で龍王を山頂に祭り、食べ物をささげて雨乞いを行った。備中南西部では1940年代まで続き、新聞にも取り上げられたという。

瀬戸内に多く

国土地理院の統計に戻ると、岡山の次に多いのは広島で13、香川5、徳島4と続く。やはり雨が少ない瀬戸内地域に多い。石田さんは「地名などには地域の歴史が詰まっている。目を向けてほしい」と話していた。

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