「10日も食べていない。あと一週間かも」看取り覚悟で引き取ったミニチュアダックスフンド 愛情注がれ生きることを取り戻した

松田 義人 松田 義人

「かなり状態が悪い老犬が岡山県動物愛護センターに収容されている。看取り覚悟で預かれる人を探している」

2023年7月、岡山県を拠点に行き場を失ったワンコを保護し、新しい里親さんへと繋ぐ活動を行う団体・NPO法人しあわせの種たち(以下、しあわせの種たち)のもとに、そんな情報が入りました。

ミニチュアダックスのダンという推定15歳ほどのシニア犬。10日も食欲がなく、足元がふらついており、最悪の場合、向こう一週間かもしれないといいます。しあわせの種たちのメンバーは「その命を全うするまでうちでお世話をします」と、ダンの世話をすべく、岡山県動物愛護センターから引き出すことにしました。

原因は精神的ストレス? ダンは元気を取り戻した

「行き場を失ったワンコを助けたい」

こういう気持ちを抱く人は多いと思いますが、しかし、現実的には容易ではありません。特に体力が落ちたシニア犬であればなおさらですし、明らかに体調不良を抱え余命いくばくもないダンのような犬であれば、その苦労は並大抵ではありません。

しかし、そうであっても殺処分だけは避け、「与えられた命を救ってあげたい」と、しあわせの種たちのメンバーは名乗りを上げました。すぐに岡山県動物愛護センターに行くと、ダンは確かにふらふらで元気がない様子。わずかな望みをかけ、スタッフが家に連れて帰ると、水をしっかり飲んでくれ、ケージの中をクンクン嗅ぎ回る様子も見受けられました。

翌日、動物病院に連れて行きました。ダンは騒がずおとなしく診察を受けてくれました。診断の結果、両方の目は白内障ですが、大きな疾患は見つからないとのこと。「十分な栄養と睡眠をとれば現時点で、命に別状はない」とのことでした。

メンバーは胸をなで下ろしました。岡山県動物愛護センターではひとりぼっちで、精神的ストレスからエサが喉を通らない状態だったのかもしれません。その後は少しずつエサを食べるようになり、次第に表情も豊かになっていきました。

肉体的には10歳くらいの元気ぶり

最初の診断から一週間後。念のため、再度検査を受けることにしました。動物病院で一週間ぶりに再会することとなった、しあわせの種たちの代表や他のメンバーたちでしたが、引き出し時とはまるで違うダンの元気な様子にて、一同驚きと感動の声をあげました。

岡山県動物愛護センターにいたころは、「貧血気味」と見られていた症状も、この一週間で食事を工夫ししっかりと食べてくれたことで、正常値に改善されていました。ダンを診てくれた獣医師は「15歳ですが、肉体的には10歳くらいじゃないですかね?」とも言ってくれました。

白内障のため両目は見えていないものの生活にはさほど大きな支障はなく、臭いと感覚で周囲に何があるのかを察します。これらのことからも、本来のダンは賢いワンコであり、さらに愛情をたっぷり注げば、当分は大丈夫とメンバーは確信しました。

いっさいの不安がない環境で元気に過ごしてほしい

「看取り覚悟」「余命あと一週間かも」と言われていたダンでしたが、それがまるでウソのように日に日に元気を取り戻してくれ、今日もしあわせの種たちの優しいメンバーの家で穏やかに過ごしています。

ひとりぼっちで岡山県動物愛護センターに収容され、怖く寂しい思いをしていたダン。幸い、メンバーに引き取られてからは、長生きできそうです。晩年はいっさいの不安がなく、元気で過ごしてくれることを願うばかりです。

NPO法人しあわせの種たち
https://shiawasenotanetachi.amebaownd.com/

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