「どうして僕は捨てられたの?」保護されたポメラニアンの悲しげな瞳 小さな体の甘えん坊が幸せつかんだ 「キラキラした瞳のままでいて」

松田 義人 松田 義人

愛知県を拠点に、行き場を失ったワンコたちを保護し幸せへと繋ぐ活動をする団体・一般社団法人SORA小さな命を救う会(以下、SORA)。

同団体に1件の保護依頼が入りました。聞けば「東海地方で飼い主によって飼育放棄されたワンコを保護してほしい」というものでした。今日も飼い主から捨てられてしまったワンコが出てしまったということです。この依頼を聞き、SORAスタッフはすぐにそのワンコのレスキューに向かいました。

引き出し時、悲しそうな表情を浮かべていた

栗色の毛とキラキラとした大きな目、推定年齢6歳ほどのポメラニアンのオスで、「デビットくん」と名付けられました。

デビットくんが飼育放棄された理由や経緯は明らかになっていません。しかし、どのような理由であれ、ワンコにとってみれば、「自分が一番信頼でき、そして自分を守ってくれる唯一の存在」が飼い主です。そして、飼育放棄されたワンコは、保護団体などの手助けがなければ「自分だけの力」で生き続けることを余儀なくされます。飼い主はこのことを自覚していたのでしょうか。

保護時のデビットくんは、不安で悲しい目をしていました。その様子は「どうして僕は捨てられたの?」と言っているようにも映りました。

胸を痛めるSORAのスタッフは「これからのデビットくんの犬生が少しでも『楽しい』と思えるようにがんばります」と語り、いっぱいの愛情を注ぎ、デビットくんが第二の犬生を迎える日までの間、お世話をし続ける決意を胸にしました。

療法食も元気に食べるデビットくん

SORAでは行き場を失ったワンコを保護した後、すぐに動物病院に連れていき、健康面での検査をしてもらうことが通例です。特にデビットくんは保護当初から嘔吐や下痢、食欲不振などの症状が見られため、保護から即座に動物病院へと連れていきました。

その検査の結果は、消化器系疾患に侵されているというものでした。消化器系疾患に侵されたワンコは、普通のドッグフードでは消化しきれず胃腸に負担がかかってしまいます。そのため、デビットくんには治療を続けながら消化器をサポートしてくれる低脂肪療法食を摂取してもらうことにしました。

ワンコの中には療法食を食べたがらないワンコもいますが、幸いデビットくんはしっかりと食べてくれるお利口さんでした。同時に病気で苦しい思いをしながらも「僕はまた元気になるんだ!」とばかりに、がんばっているようにも映りました。

スタッフは「消化器系疾患は治療が遅れたら最悪の場合亡くなる可能性があるので、デビットくんが強くて良い子で本当に良かった」と安心しました。

甘えん坊でも散歩はちょっと苦手

これまでの経緯から、スタッフの愛情を受け取ったのか、デビットくんはほどなくして懐いてくれ、そばに寄るとうれしそうに尻尾をブンブン振ってくれるようにもなりました。さらに、まんまるの目で「なでて!」とスタッフに甘えてくることもあります。

「しょうがないなぁ」とスタッフが体をなでてあげると、キラキラの瞳をさらにうっとりさせてこちらを見つめてきます。

ただ、散歩に出ても外ではうまく歩くことができません。おそらく以前の環境では満足な散歩を経験していなかったのでしょう。こんなにかわいいデビットくんが、満足に散歩にも連れていってもらえていなかった過去の生活を思うと、また心が苦しくなるスタッフでしたが、デビットくんのペースを尊重しながら、少しずつ少しずつ、外や散歩にも馴れてくれるよう世話を続けました。

キラキラした目のままでいてね!

持病に向き合い、いつも明るい笑顔を見せてくれていたデビットくんでしたが、ついにこの夏「迎え入れたい」という里親希望者さんが現れ、めでたくSORAから巣立っていくことになりました。

体調面の心配はありますが、それでもあのかわいいデビットくんが第二の犬生をつかんでくれたことを喜ぶスタッフでした。そして、「デビットくんのように、今後もより多くのワンコたちを幸せにつないでいきたい」という思いを改めて強く抱きました。

まずはデビットくんが幸せをつかんでくれて一安心です。これからもずっとそのキラキラした瞳のままでいてね!

一般社団法人SORA小さな命を救う会
https://sora-chiisana.org/

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