申込みが続々、人気はなぜ? ふるさと納税の返礼品に「書体」…ウソのような「フォント」の話

京都新聞社 京都新聞社

 半導体製造装置大手のSCREENホールディングス(本社、京都市上京区)が独自に開発した書体「ヒラギノフォント」が、京都市のふるさと納税の返礼品に登録され、寄付が相次いでいる。登録開始から1週間ですでに65件(9月11日午前9時現在)の申し込みがあり、SNS(交流サイト)でも話題を呼んでいる。書体という全国でも珍しい返礼品が、なぜ人気を集めているのだろうか。

 ヒラギノフォントは1993年に発売され、同社の子会社「SCREENグラフィックソリューションズ」(上京区)が展開している。同社によると、視認性が高く、小さい文字でも読みやすいのが特長で、高速道路の標識や雑誌の表紙、テレビ番組のテロップなど幅広く全国で使われているという。2005年にはグッドデザイン賞(日本デザイン振興会主催)を受賞した。

 市はなぜ書体を返礼品に登録したのか。書体を返礼品とするケースは全国でもほとんど先例がなかったが、書体は北区の地域名「柊野」に由来し、市は「京都の企業が京都の地名を使って開発した書体は、返礼品の要件である地場産品に当たる」と判断、登録を決めた。今月4日に申し込みを開始したところ、一晩で10件を超える応募があった。SNS上でも「だいぶ魅力的」「こういうの面白い」など話題に上っている。

 人気の秘密は何か。ヒラギノフォントはiPhone(アイフォーン)やMac(マック)には標準搭載されているが、利用者が多いWindows(ウィンドウズ)には未搭載となっており、返礼品のCD―Rのデータを取り込めば6書体12フォントを自由に使うことができる。また、寄付額6万円の返礼品で、自己負担2千円を除いて翌年度の税金が控除されるため、事実上、市場価格(約3万7千円)より大幅に安い価格で入手できることも理由の一つとみられる。

 CD―Rは寄付完了から7~14日以内に郵送で届く。市にふるさと納税の登録を打診した同社担当者は「反響の大きさに驚いている」と喜び、市総務課は「京都の企業と地域に愛着を持ってもらえるきっかけになれば」としている。

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