空き家出身の保護猫、遊んでいるとつい舌ペロ 歯周炎の治療のために抜歯にも耐えた頑張り屋さん 第2の猫生へ歩み始めた

松田 義人 松田 義人

2018年、ある空き家で野良猫たちが暮らし繁殖を繰り返していました。近所からの苦情で問題が発覚。猫の保護活動をしている人がTNR(一度、猫を引き取り避妊手術をした後、もといた場所にリリース)などを行いましたが、その中でも比較的人間に警戒心が薄い猫は、里親募集をかけ、新たな猫生を歩んでもらうことを目指しました。

そのうちの1頭がくるみというメスの猫。一度、ある人の家に迎え入れられた後、諸事情から保護団体・一般社団法人LOVE & Co. (ラブ・アンド・コー。以下、ラブコ)に引き取られることになりました。

舌をペロリと出し無心に遊ぶ姿がたまらない

くるみが一時保護されていた家は一般住宅だったそうです。ラブコのオフィスはその家よりは広々としたスペース。くるみは、馴れないスペースに少々困惑気味で、ラブコに来た当初はなかなか心を開いてくれませんでした。

しかし、持ち前の人懐っこい性格が奏功し、やがて環境はもちろん、ラブコのスタッフにも馴れてくれました。同じ空き家出身の猫・しじみとは特に仲良し。一緒に楽しそうに遊ぶ様子を見せてくれるようにもなりました。

くるみは遊びに夢中になると舌がペロリと出てしまうことがあります。短い胴体と、カクっと曲がった尻尾をフワフワさせながら、嬉しそうに舌を出しながら遊ぶくるみの姿は、スタッフの心を癒してくれました。

唯一くるみにあった持病の歯肉炎

くるみにはひどい歯肉炎がありました。猫の歯肉炎は、猫特有の事情から自身の免疫が歯を攻撃して炎症が起きてしまうことがあります。こういった場合、歯を抜くことで、免疫からの過剰な攻撃を抑え、炎症を軽減できるメリットがあると言います。

スタッフは思い切って、くるみの歯のうち、犬歯以外の全てを抜くことにしました。想像するだに痛かったであろう手術でしたが、くるみはなんなく乗り越えてくれ、数日すると、何もなかったかのようにこれまで通り、楽しそうに遊ぶ姿を見せてくれるようにもなりました。

くるみに優しい里親希望者さんが現れた

「こんなにお利口さんのくるみなら、里親希望者さんとのマッチングもそう遠くないだろう」と願うスタッフでしたが、クリスマスを目前にしたある日のこと。スタッフの予想通り、「くるみをお迎えしたい」という優しい里親希望者さんが現れました。ついにくるみは、「ずっと一緒」のお家を見つけることができたというわけです。

保護されてから2年間という長い時間をラブコで過ごしたくるみ。スタッフは、くるみとの時間をもう過ごせないことを、少々寂しく思いつつも、「優しい里親希望者さんに出会えて本当に良かった」と喜びました。そして、巣立っていくくるみの背中をポンと押しながら「これからずっと楽しく、幸せに暮らしてね!」と応援してあげました。

一般社団法人LOVE & Co.
https://love-and-co.net/

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